2013/02/12 - 19:56

写真家がニコン提訴〜「慰安婦」写真展中止事件

 
戦後、中国に置き去りにされた元「日本軍慰安婦」を題材にした写真展が、会場を運営するニコン側から中止が通告された問題で、韓国人写真家・安世鴻(アン・セホン)さんは去年12月25日、東京地裁にニコンに対する損害賠償等請求訴訟を起こした。第1回目の公判が、来週18日に開かれる。
 
中止となった写真展は、2011年12月に安世鴻さんがニコンサロンの公募展に応募していたもので、審査会を経て、去年1月に開催が決定。大阪での追加展も依頼されていた。しかし、東京での開催直前にニコンが中止を通告。東京地裁がニコンに対し予定通り会場を使用させるよう命じる仮処分を出したため、開催にこぎつけたものの、ニコンはホームページに開催情報を掲載しないなど、協力を拒否。その後予定されていた大阪での開催は中止となった。
 
安さんは、開催への抗議電話などをきっかけとするニコン側の突然の中止通告と、写真展への協力拒絶行為は、原告の人格権を侵害する不法行為に該当すると指摘。ニコンに約1400万円の損害賠償請求とホームページでの謝罪広告などを求めている。
 
会見した安さんは、「ニコンから受けた不当な待遇は私個人に対してだけでなく、写真家、表現する人全体へのものだ。訴訟を通して中止通告の本当の理由を明らかにし、同様の問題が二度と起こらないようにしたい」と話した。
 
第一回口頭弁論は2月18日(月)10:30~東京地裁で行われる。
 
関連リンク
「ニコンサロン安世鴻写真展中止に対する提訴」~重重プロジェクト
http://juju-project.net/nikonsosho/
「慰安婦写真展中止事件 ニコンの「政治的」介入が映し出したもの」~アジアプレス
綿井健陽(ビデオジャーナリスト、ビジュアルジャーナリスト協会会員)
http://www.asiapress.org/apn/archives/2013/01/29145936.php
安世鴻(写真家)
http://ahnsehong.com
 
関連番組
「Fotgazet通信・問われる表現の自由~ニコンサロン写真展中止事件」
ゲスト:安世鴻(写真家)綿井健陽(ビデオジャーナリスト、ビジュアルジャーナリスト協会会員)森住卓(フォトジャーナリスト、ビジュアルジャーナリスト協会会員)田島泰彦(上智大学教授)
http://bit.ly/LYfAVu
 

 

Standing Together, Creating the Future.

OurPlanet-TVは非営利の独立メディアです。視聴者の寄付を原動力に取材活動を展開しています。あなたもスポンサーとして、活動に参加してください。継続的に支援いただける方は会員にご登録ください。

※OurPlanet-TVは認定NPO法人です。寄付・会費は税額控除の対象となります。