2013/02/27 - 09:26

原発事故時の防災指針にパブコメ反映されず

 
原子力規制員会は27日、原発事故時などに住民が避難する基準を定めた防災指針の改訂版を正式に決めた。パブリックコメントには、わずか2週間で3155件が寄せられたが、反映されたのは文字の修正程度となり、委員会を傍聴していた市民からは、「パブコメを反映させろ」「パブコメを無視されたら、どう意見を言えばいいのですか」と声が上がり、一時騒然となった。原発の30キロ圏内の自治体は、3月18日をめどに地域防災計画をつくるが、避難基準などがどの程度盛り込まれれるかは未定。
  
防災指針では、原発から半径5キロ圏外の住民は、空間放射線量が毎時500マイクロシーベルトに達したら直ちに避難。毎時20マイクロシーベルト以上になった地域では、地域で生産された野菜や牛乳などの摂取を制限するとともに、1週間以内に一時移転することが示されている。
 
パブリックコメントでは、「避難の基準が高い。被ばくの感受性の高い子ども、妊婦を考慮した基準を別途つくるべき」「原発事故の被災者ヒアリングを行うべき」「ヨウ素剤配布のエリアが狭すぎる」「防護区域が狭すぎる」等の声が多く見られたが、どれも防災指針には反映されていない。
 
この後、住民の健康管理のあり方に関する検討チームの議論の総括について話し合われたが、福島県の県民健康調査を追認し、評価する総括案が出された。福島県医師会の副会長を務める木田光一委員が求める「国による健康調査の一元化」「国によるナショナルセンターの設置」「全国の健診データと放射能汚染をフォローする地域のデータベースを比較検証できる枠組み作り」などの意見は、まとめには入らず、統括書の最後に記載された。
 
今回の総括提言先について、田中俊一委員長は「予算措置もあるので首相まで上がるようにして欲しい」と発言。規制庁の池田長官は「検討していく」と話した。
 
3155件のパブリックコメント
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/data/0031_15.pdf
配布資料一式
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/20130227.html
OurPlanetTV 中継:実況まとめ
http://togetter.com/li/463272
 
【ノーカット版】第31回 原子力規制委員会

 

 

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