2013/07/09 - 06:00

5原発10基が再稼働申請~新規制基準が施行

原発の新規制基準の施行を受け8日、北海道、関西、四国、九州の電力4社が5原発10基の審査を原子力規制委員会へ申請した。原子力規制委員会の建物の前では、原発立地地域から集まった市民らが抗議行動を行った。
 
9時30分。原子力規制委員会には、北海道、関西、四国、九州の電力4社が来訪。北海道電力は泊発電所1・2号機、泊発電所3号機、関西電力は大飯発電所3・4号機、高浜発電所3・4号機、四国電力は伊方発電所3号機、九州電力は川内原子力発電所1・2号機の順番に、申請書類を原子力規制庁に提出した。
 
一番の提出となった北海道電力の酒井修副社長は、「冬前に再稼動できればという強い思いがある」と強調。四国電力の谷川進常務は「効率的な審査をしていただきたい」と発言した。また4基の申請書を提出した関西電力の森中郁雄常務は「全部同時に審査していただきたい」と希望を述べた。今回、東京電力も柏崎刈羽原発6・7号機の申請を目指していたが、新潟県知事から「事前了解が必要」と反発を受けたため、8日の申請書提出は見送った。
 
今後、原子力規制委員会は、3チーム計80人の体制で審査にあたるが、審査の順番や、詳細な審査方法についてはまだ決まっておらず、期間については、「少なくとも半年以上かかる」としている。一方、一刻も早い審査を望む電力各社だが、新規制基準で設置が義務づけられた「免震事務棟」が完成しているのは伊方原発のみ。他の原発は未整備で、完成するまでは代用施設を使うことにしているなど、実際には設備が新基準に満たない状況まま申請しているなど問題点も多い。
  
東京電力福島第1原発事故を受けて、既存の規制基準では不十分であるとの教訓から原子力規制委員会で議論がされて施行された「新規制基準」。再稼働の申請受付が始まったのを受け、朝8時30分、全国各地の原発立地地域から市民およそ50人が原子力規制委員会の前に集まり、「再稼動への申請を止めてください」と声を上げた。
 
また午後には北海道や福井、愛媛など立地地域からから集った市民らが記者会見を開き、どの原発も新基準に満たない状況にあるとして、まだ審査を受ける段階ではないと厳しく批判。京都在住のアイリーン・美緒子・スミスさんは、「市民が危険を指摘してきて、多くの原発新規立地を止めてきた。強引な運転再開の動きに対して、日本中の市民が繋がれば阻止できる」と訴えた。
 
また、福井県の中嶌哲演さんは、「例え基準がクリアされたとしても再稼動は認めない。巨大なツケを残す使用済み核燃料を増やすだけで許されない」と主張。北海道から参加した山口たかさんは、今後、自治体の首長への働きかけが重要になるとして「100万人署名をスタートした。北海道知事に突きつけたい。」と力をこめた。
 
関連番組
2013年7月5日配信「泉田知事、東電社長に不快感〜原発再稼働めぐり」
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1614
2013年7月2日配信 東電、柏崎刈羽原発の再稼動申請へ~新潟知事は反発
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1613
2013年6月19日配信 原発「新基準」決定に抗議の声〜複数原発が再稼働申請へ
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1606
 

 


 

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