福島第一原発事故
2012/05/14 - 23:36

国会事故調に東電・勝俣会長〜「当事者意識なし」あらわに

東京電力福島第1原発事故を検証している国会事故調査委員会(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は14日、東電の勝俣恒久会長を参考人として招き、公開で事情聴取を行った。

事故時、東京電力のトップである勝俣会長と清水社長の双方が、本店に不在だったことに関して、勝俣会長は、清水社長が奈良県でプライベートな旅行をしていた件について、事故後に知ったと回答。また、帰国までの間、勝俣氏自身は、電源車や海水注入の検討について、詳しく聞かされていなかったとした。

事故対応については、現場の最高司令官は吉田所長といいながらも、官邸から海水注入の中止の命令があったことについて質問されると、「原子力災害本部長であり、日本の総理である菅総理から指示されるたので仕方なかった。短時間で説得できれると思った」と回答した。これに対して、蜂須賀禮子委員(大熊町商工会会長)は「東電の方には、何人もお話を聞いたが、どなたも何も責任がないかのような回答に聞こえる」と厳しく責任を追及。しかし、勝俣氏は「厳しいというか、貴重なご意見」を返ししたため、会場から失笑が漏れた。

このあと野村修也委員(弁護士)が、2004年のスマトラ沖地震を踏まえ、保安院が2006年に「想定外の津波が来れば電源喪失の恐れがある」などとする文書を、東電の上層部あてに届けたことを指摘。この文書が、東電社内の伝達がミスで経営者に届いていなかったとして、対策が出来なかったことに対して質疑が行われたが、勝俣会長は、終始「津波を想定していなかった」ことが原因と回答。「今から思えば、対策できることはあった」としながらも、「人災」の側面については否定した。

傍聴に訪れていた双葉町の井戸川町長は喪服を着用。勝俣会長の参考人招致について問われると、「本当にゆるせない。反省している言葉が安っぽく残念。避難したくても、避難できない子どもがたくさんいる。福島県内は、核実験場そのもの」と述べ、怒りをぶつけた。

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