2019/09/04 - 02:50

「表現の不自由展」実行委と津田氏が別々に会見〜同日同会場

津田氏の会見(映像提供:綿井健陽)

愛知県で開催中の「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の公開が中止されている問題で2日、芸術監督である津田大介氏と同展の実行委員会が、千代田区にある日本外国特派員協会でそれぞれ記者会見を開いた。

津田氏「ハードルをクリアして展示再開したい」

この日、12時30分から最初に会見を開いたのは津田氏。先月2日に同企画展が中止になってから、都内で初めて記者会見を開いた。津田氏は、展示が中止になった経緯を説明。「政治家の圧力ではなく、電話での攻撃やテロの脅迫があった」と運営面での安全確保が出来なかったことを強調。「抗議電話はマニュアルを使った組織的な攻撃だった」と説明した。

記者から同企画展の再開について質問が出ると、津田氏は、展示再開の課題として、770通の脅迫メールの捜査の進展や、電話抗議の対策、会場の警備体制の強化などをあげた。「展示が3日間で終わったことは全く納得していない。ハードルをクリアして再開を目指したい」と述べた。今後、作家や観客を交えた公開の議論の場をつくっていくという。


実行委員会の会見(映像提供:綿井健陽)

実行委員会「展示中断は検閲」「再開のための協議を」

14時からは、同企画展の実行委員会のメンバー3人が会見を開いた。岡本有佳氏は、同企画展の中止を愛知県の大村知事と津田氏で決めたことを批判。「今回の中断を検閲ではなく、安全面の問題だと主張しているが、そうは思わない。作品を見せないようにしたこと、表現の自由を侵害した行政の判断は検閲にあたる」と指摘した。また、「攻撃の対象となった平和の少女像は、戦争と性暴力のない女性の人権の尊厳の回復を願う芸術作品です。被害者の記憶、歴史的記憶を消される時に、ジェンダー平等を掲げるトリンナーレはまず声を上げるべきです」と訴えた。

小倉利丸氏は、同企画展の展示室をメディアが取材できないことを批判。「報道の自由の深刻な侵害である。市民はメディアを通じてもアクセス出来ず、それが憶測や偏見を助長してしまう」と述べた。同実行委員会は、公共施設のセキュリティについて専門家にヒアリングなどを行い展示再開を模索している。大村知事に対して、再開のための協議を申し入れているが返事がないという。

愛知県は先月16日に、美術関係者や有識者からなる第1回の検証委員会を開催。今月中旬に開催されるという第2回会議で中間報告が出される予定だ。同企画展の再開を訴える市民のグループ「表現の自由を市民の手に全国ネットワーク」は、6日に院内集会を開き、22日には愛知県美術館前で1万人集会を呼びかけている。

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