2021/04/09 - 16:37

手紙が語る収容施設の闇〜スリランカ人留学生はなぜ死んだのか

「子供たちに英語を教えたい」夢を持って来日したスリランカ人女性が今年3月6日、名古屋入国管理局の収容施設で亡くなった。亡くなったのはウィシュマ・サンダマリさん(享年33歳)。ウィシュマさんは2017年に留学生として来日。日本語学校で学んでいたが仕送りが途絶えて退学を余儀なくされた。在留資格を失い、オーバーステイが発覚。2020年8月に入管施設に収容された。同居していた男性からの暴力を警察に相談したことがきっかけだったと言う。

日本で暮らす外国人は在留期限が切れると「退去強制手続き」に入り、送還されるまで入管施設内での過酷な拘束が続く。難民申請者を自宅で受け入れるなど支援活動を行ってきた眞野明美さんは、昨年12月から、ウィシュマさんに面会を重ねてきた。「まず、一度は会ってみようと。そうしたら、“少女”みたいだった。小さくて…。収容されて4か月経っていて、相当にまいっていますよね。とにかく入管にいるときには、みんな心がズタズタになっちゃう。」眞野さんはウィシュマさんに手紙と絵をかくよう促し、12月からわずか1月あまりの間、送られてきた手紙は10通に及んだ。

眞野さんは、地元で外国の支援活動を行っている市民団体と協力し、ウィシュマさんが「仮放免」となるよう申請を進めていた。しかし、ウィシュマさんは今年1月下旬から体調が悪化。嘔吐や吐血などを繰り返し、収容されたときから体重は20キロ近くも減っていた。外国人労働者や難民を支援する団体「STRAT」の顧問・松井保憲さんは、適切な医療を受けることができず、死につながったと指摘する。
「衰弱が進んでいくことが目に見えてわかる状況。薬を出しても、飲んでも吐いてしまう、そういう状況がはっきりしている中で、点滴1本も打たない。これは本当に見殺しにしたそういう状況がある」

法務省が統計を取り始めた2007年以降、5人の自殺者を含む17人が入管施設内で死亡している。

取材・撮影:西中誠一郎/構成・編集:OurPlanet-TV

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