TOP

福島「避難する状況にない」〜子ども被災者支援法基本方針改定へ

投稿者: ourplanet 投稿日時: 金, 07/10/2015 - 01:41
Get the latest Flash Player to see this video.

復興庁は10日、「子ども被災者支援法」の基本方針改定案を公表した。支援対象地域について改定案では、「放射線量は発災時と比べ大幅に低減し、避難する状況にない」と明記。今回に限り支援対象地域の変更は実施しないものの、今後、「縮小または撤廃することが適当である」としている。子ども被災者支援法の基本方針は、2013年10月に閣議決定されてから初の改定となる。
 
「原則、帰っていただきたい」
今回の改定案で最大の変更点は、「原発事故発生から4年余が経過した現在においては、空間放射線量等からは、避難指示区域以外の地域から避難する状況にはなく、支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当であると考えられる」と明記されいることである。さらに応急仮設住宅の供与期間が、平成29年度末までとされていることについて、「空間線量が低減していること等とも整合的である」と記述。被災者が、帰還するか他の地域で定住するかのいずれかを選択するよう、判断を迫る内容となっている。
 
子ども被災者支援法は、第一条で「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていない」と言及。「一定の基準以上」のある「支援対象地域」の住民は、避難をしてもしなくても、「いずれを選択した場合であっても適切に支援するものでなければならない。」と規定されている。
 
このため記者から、法の趣旨に反するのではないかとの質問が出たが、復興庁の竹下大臣は、「基本的なことは福島に決めていただいて、我々が支援していく構図になっている。住宅、避難の時期等については、基本的に帰っていただきたいと。これは福島の強い思いでありまして、それを期日を示すことで、促進していきたいという思いがある」と説明。自主避難も強制避難も同じく、「原則として、帰っていただきたい。帰らない人は、帰らない人への対応を考えるというのが福島県の立場」と強調した。
 
改定案の「避難指示区域以外の地域から避難する状況にはなく」「支援対象地域は縮小又は撤廃することが適当である」との文言から、2年後の避難指示区域解除に伴い、子ども被災者支援法の支援対象地域を撤廃することも予想される。
 
避難する状況にない線量とは?
「避難する状況にない線量とはどんな線量か」との質問に対して竹下大臣は、「細かいことは分からない」と回答。法制斑の佐藤紀明参事官は、「外部被曝、内部被曝、食品検査の結果から、発災時から見るとだいぶ低減し、避難する状況にはない」と述べただけで、具体的な線量基準については触れなかった。
 

 
2013年の支援方針策定の際も、「一定の基準」があいまいにされたまま、33市町村が指定されたことに対し、多くの市民から疑問の声があがった。さらに追及すると、竹下大臣はこう答えた。
「福島県に180万人の方が生活していらっしゃる。福島県はそのことは福島県は一番、重く考えている。福島県は悩んだ末に、2年間で準備区域や居住区域は帰還しようと決断したわけですから、我々としては、それができるように最大の努力をする。」
 
福島の甲状腺がん「多発」に触れず
前回の基本方針では、支援施策について、数多くの施策を列挙していた。しかし、今回は個別施作策を網羅することをやめ、4つの内容のみを記載するスタイルに変更した。その一つは「住宅の確保」だが、そのほか「放射線による健康への影響調査、医療の提供等」と福島県外で暮らす被災者の支援団体の支援、地方創生分野を活用した政策の展開が挙げられている。
 
「放射線による健康への影響調査、医療の提供等」は、初期被ばく線量の把握や福島近隣県における疾病罹患動向の把握、リスクコミュニケーション事業の充実などが謳われている。その根拠として、環境省の専門家会議の「中間とりまとめ」を引用。「今後も放射線被曝によって何らかの疾病リスクが高まることも可能性は小さい」との記載にとどまり、福島県の甲状腺検査について触れられていない。福島県では、環境省の取りまとめより半年遅い5月18日に、県民健康調査検討委員会「甲状腺評価部会」が、福島県の小児甲状腺がんが通常よる数十倍多い「多発」であるとの「中間とりまとめ」を提出。「被ばくによる過剰発生」か「過剰診断」のいずれかと結論づけている。
 
県外避難者向けの切り札は「地方創生」
今回、突如、基本方針に記載された政策が「地方創生」の活用だ。現在、政府は「地方創生」戦略として、人口減少地域の活力を取り戻すための様々な定住促進政策を展開している。福島から他県に避難している家族の多くは子どものいる世帯であることから、復興庁は、福島以外の地域で定住を希望する避難者に対し、「地方創生」施策を活用したプランを提示できるとの考えだ。「原発事故避難者」向けの定住策は用意できないが、「地方創生」戦略の一環でなら定住は可能だとする。これに対し記者から、首都圏の避難者はどうするのかと質問が出たが、佐藤参事官は「地方創生は活用できなくとも、福島からの支援措置がある」と繰り返すにとどまった。
 
パブコメは8月8日締め切り〜東京・福島で説明会
この改定案は、8月8日までパブリックコメントを募集し、その後、閣議決定される。復興庁では、7月17日(金)に東京で、18日(土)に福島で、それぞれ説明会を開催する。16日までの事前申し込みが必要。
 
子ども被災者支援法基本方針改定(案)概要
http://www.ourplanet-tv.org/files/m29515071001.pdf
被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(改定案)
http://www.ourplanet-tv.org/files/s29515071001.pdf
参考データ  
http://www.ourplanet-tv.org/files/m29515071002.pdf
 
パブコメについて[平成27年7月10日~8月8日まで] 
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat8/20150710124454.html
東京での説明会(7月17日)の開催について
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat8/sub-cat8-1/201507091127...
福島での説明会(7月18日)の開催について
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat8/sub-cat8-1/201507091156...
 
原発事故・子ども被災者支援法関連のニュース
1ミリ目指す〜「避難の権利」へ大きな一歩(2012年6月14日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1381
一刻も早く具体策を~平野大臣に福島の被害者訴え(2012年11月28日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1471
「子ども被災者支援法を軸に」福島県医師会が要望(2012年12月7日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1499
「被災者の意見を反映させたい」子ども・被災者支援議連発足(2013年1月22日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1514
千葉・9市が復興庁へ緊急要望~子ども被災者支援法(2013年2月16日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1539
「被害実態を踏まえていない」〜原発被災者支援策に抗議の声(2013年3月15日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1555
子ども被災者支援法「基本方針」がふりだしへ〜解釈めぐり激論(2013年3月19日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1556
子ども被災者支援法「対象地域」〜原子力規制委が基準を検討(2013年3月22日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1556
"自主避難者" "健康調査" おきざり〜支援法をめぐり応酬(2013年4月20日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1565
健康診断求め請願書提出~茨城・千葉・埼玉の保護者(2013年6月7日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1596
被災者や議員へ中傷ツイート連発〜復興庁「支援法」担当(2013年6月15日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1598
議員が緊急会合「復興庁の組織問題」〜復興庁ツイッター問題(2013年6月14日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1602
「子ども被災者支援法」担当の空席つづく~復興庁(2013年6月18日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1604
復興庁へ日弁連ら申し入れ~ツイッター問題(2013年6月20日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1607
子ども・被災者支援法1年~復興省担当者に停職30日(2013年6月21日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1608
市民ら復興庁に抗議〜被災者支援法先送りめぐり(2013年7月2日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1625
「1ミリ以上を対象地域に」〜子ども被災者支援法で国を提訴(2013年8月22日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1634
来年度も予算ゼロか?~子ども被災者支援法の概算要求(2013年8月26日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1635
復興大臣「100ミリ以下の健康影響わずか」支援法基本方針(2013年8月30日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1639
被災者が基本方針の撤回要望〜子ども・被災者支援法(2013年9月4日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1642
見直し求める声相次ぐ、支援法説明会(2013年9月12日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1644
首長発言も黒塗り〜帰還政策で住民置き去り浮き彫り(2013年9月18日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1647
復興庁に苛立ちの声相次ぐ〜支援法のパブコメは約5千通(2013年10月21日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1651
パブコメ全く反映されず閣議決定へ〜子ども被災者支援法(2013年10月9日)
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1653
 
【OurPlanetTV番組制作支援のお願い】
この番組は会員のみなさまからの会費や、視聴者のみなさまからの寄付・カンパを基金に制作しています。より多様な視点から情報発信ができるよう、ぜひ制作費のご支援をお願いいたします。詳しくはこちらをご覧ください。





【会員として継続的なご支援をお願いします】
OurPlanet-TVは独立性を重視した運営をしています。活動に関わる費用はすべて、応援してくださる個人の寄付や活動に賛同する会員からの会費によって支えられています。継続的にサポートしていただける方はぜひ賛助会員にご登録ください。詳しくはこちらをご覧ください。