TOP

放送法改正はネット規制!?

投稿者: ourplanet 投稿日時: 金, 04/30/2010 - 11:32

【重要な訂正あり(5月4日)こちらも併せてお読みください!】
連休明けにも委員会審議入りをすると見られている放送法改正案。60年ぶりの大幅改正されるこの法案が、実はとんでもない内容であることがわかってきた。

最も問題なのが、第二条の「放送」の定義。
これまでの「放送法」では、
【「放送」とは公衆によっ直接受信されることを目的とする無線の通信の送信】と定義づけてきた。しかし、今回の改正案では、
【「放送」とは、公衆によっ直接受信されることを目的とする電気通信の送信】としている。
(放送法の一部を改正する法律案)
http://www.soumu.go.jp/menu_hourei/k_houan.html

電気通信事業法によると、【電気通信とは、有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けること】を指す。すなわち、つまり、今回の放送改正案では、公然性のあるすべての通信=ブログをはじめとするネットコンテンツ全てを「放送」と定義づけているのである!!
(電気通信事業法)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S59/S59HO086.html

インターネットコンテンツを「オープンメディアコンテンツ」と名づけ、政府の管理下に置くという議論は、2006年に総務省が設置した「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」でも議論されてきた。
(2007年6月中間とりまとめ)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2007/pdf/070619_3_bs2.pdf

しかし、インターネットユーザーを中心に反発が強く、2007年の暮れにはいったん見送りなったという経緯がある。実際、去年8月に出された最終答申でも、インターネットのコンテンツは既存の法律で対応すべきとして、放送通信の融合法制からは除外するという方向で結論が出ていたはずだ。しかし、なぜか今回の「改正放送法」の中で、亡霊のごとく復活しているのである。

しかも、法文をよく読むと、どのコンテンツが「放送」とするかは、影響力の大きさを指標に判断し、省令で定めることになっている。省令は、国会などを通さずに大臣が決められるもの。つまり、「来年から、ネット上の有力な動画サイトは「放送」にします」と大臣が決めてしまうことが可能なのだ。「放送」に指定されれば、当然、国への「届出」や「登録」が必要となり、放送番組準則(※)を守る必要が出てくる。

さらに驚きなのが、今回の法改正では、これまでにはあり得なかった、総務大臣が直接、放送停止の業務命令ができるとする条項も加わっているで。万が一、「OurPlanetTV」や「ニコニコ動画」や「Ustream」が省令で「放送」と定められるようなことになれば、何らかの理由によって、業務停止命令を受ける可能性さえ出てくる。

ところで、「大臣が直接、メディアに直接関与し、放送停止の業務命令を出せるなんて、マスコミは、なんで、こんな大変な問題を大々的に報じないのか?」という疑問が沸くだろう。実はここが、今法案の重大な落とし穴なのである。

今回の法案では、総務大臣が業務停止の対象から「基幹放送」のみ、除外されているのだ。「基幹放送」とは、主な地上波放送局やBSやCSの一部の放送局など、ある一定の電波を利用している放送局を指す。社会的に影響力の大きなこれらの放送局には、どういったわけか、規制の網がかからない仕組みとなっているのである。

私は今年1月5日、初めて総務大臣の記者会見に出席し、去年8月に出された「情報通信法」の答申をどう扱うのかついて原口大臣に質問をしている。その時、原口大臣はそのとき、こう回答してした。
「放送と通信の融合、これは参議院の総務委員会でも、いろいろな他党のかたがたからも議論をされましたけれども、本当に今のような形でやっていいのですかと。通信というのは、やはり基本は通信の秘密。放送は表現の自由であり公正性です。その二つを、原理原則を示さないまま融合するという形にしてしまうと、守られるべき保障されるべき国民の権利というのは一体なんなのか。前の政権がやってきたことを私はすべて否定するということで言っているのではなくて、原理原則をはっきりさせた上で法制化をしないと、結果は単なる目の前の対処型の法律になってしまうということで、今、総務省において、私の指示の下で、法制化を進めているというのが現状でございます。また形が見えたら記者会見をしたいと思います。」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/23366.htm

私はこの言葉を聞き、「情報通信法」は見送りとなったと確信した。ただ、会見の翌日、出張先のインドで、放送法改正の骨子を発表したことを知り、「また形が見えたら記者会見をしたい」と言っていたのに、なぜ、翌日に、しかもインドで発表するだと、訝しく思ったのも事実だ。

それから既に4ヶ月近く。
恥ずかしながら、私は大臣の言葉を信じ、放送法改正は、技術的な一部にとどまるものと思い込んでいた。しかし、完全に騙されていたのである。
実際には、改正放送法案のほとんどの条文が、前政権の「情報通信法」の流れを踏襲したものとなっていたのだ。それどころか、いっそう悪化した部分さえある。

たとえば、総理大臣直属の「電波監理審議会」の権限が強化され、「放送」の「不偏・不党」に関する重要事項について、調査できる権限が追加されている。政府と一体化した機関が、「不偏・不党」について中立性を確保できるのかといえば否。過去の放送の歴史を見れば、それこそが危ういことがわかる。

それにしても、恐ろしい。「情報通信法」の議論であれほど反対のパブリックコメントが多かったネットコンテンツ規制が、いつの間にか、するりっと法案化してしまっているのだ。

この法案を作成した総務省の国際戦略局は今、「今後のICT分野における国民の権利保障等の在り方を考えるフォーラム」の事務局をつとめ、戦後の放送通信政策を抜本的に見直す議論を仕切っている。会議の狙いは、放送や通信の監理する独立機関を設置し、メディアの監督を国家から切り離そうというものだ。しかし実際には、同じ担当部局の中で、その議論とは全く逆の法改正を勝手に進めていたのである。http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/kenri_hosyou/index.html

総務省が、メディア政策の根幹を決めるような議論をしている傍らで、敢えて、これほど大幅な法改正を行うかといえば、放送や通信の監督権を手放したくないからとしか考えられない。これを実現するために、民主党の希望を叶え、大手テレビ局の希望を叶え、「文句」の出な状態に整えたのが、現法案だと言える。まさに、官僚おそるべし!

でも、今はネットがある。ネットが「放送法」で封じられないためにも、ネットでこの問題を社会化する必要がある。

(※)放送番組準則(放送法第3条の2第1項)
(1)放送番組の編集に当たって、「公安及び善良な風俗を害しないこと」(第1号)
(2)「政治的に公平であること」(第2号)
(3)「報道は事実をまげないですること」(第3号)
(4)「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(第4号)