福島第一原発事故
2012/07/05 - 07:10

【福島のいま】1年目の花見〜二本松・同朋幼稚園

 

去年4月25日に訪問した福島県二本松市の同朋幼稚園。入園式以降、子どもたちは外出られず、天気の良いその日も、屋内で遊んでいた。園庭には大きな桜が一本、きれいな花をつけていた。4月も終わりのこの日、園長ははじめて子どもたちを5分間だけ外に出し、この桜の下で、恒例の記念撮影をした。

撮影は一瞬で終わり、子どもたちは再び、園舎に入らなければならない。遊び盛りの子どもたちはみんな外で遊びたいとダダをこねる。「晴れている日はお外で遊ぶんだよ」「遊べなんだよ」「保育園は外に出てるんだよ」「でも同朋幼稚園は出られないんだよ」「マスクをしてればいいんじゃない」「マスクをしてたってダメなんだよ」職員は、子どもたち一人ひとりをなだめながら、園内に連れて行く。

そのせつない光景から1年。私は、再び今年の春、同朋幼稚園の記念撮影を取材しようと決めていた。しかし、桜は4月上旬、切り倒された。同朋幼稚園では、園庭の土を取り除き、芝を張り替えたほか、屋根もふき替えるなど、あらゆる除染を行ってきた。しかし、桜の木は、どんなに樹皮をはがしても、放射線量が下がらなかったのだという。結局、切り倒すしかないという結論に至り、桜が咲く直前に、大きな幹は倒された。

無惨な姿の桜。この桜の幹を囲んで花見をするという話を聞き、私は、再び、同朋幼稚園を訪れた。楽しいバーベキューだったはずのそこで目にしたのは、父親たちの苦しむ姿だった。大飯原発が再稼働した今こそ、彼らの言葉を、そして福島の現実を聞いて欲しい。(OurPlanetTV白石草)

※この映像は、将来的に映画としてまとめるつもりでいましたが、ある集会で一部を上映したところ、多くの人に見せたいとの声が強かったため、ほとんど編集を加えず、撮影した素材のまま配信しています。福島の子どもたちの現実を映画にまとめるプロジェクトも検討しています。ぜひ応援してください。

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