福島第一原発事故
2022/09/14 - 18:05

「子ども脱被ばく裁判」来年2月1日判決へ

2014年8年の提訴から8年。福島県在住の子どもが、放射線量の低い安全な環境で教育を受ける権利を求めて、国や福島県、市町村を訴えている裁判(子ども脱被曝裁判)の控訴審判決が、来年2月1日に言い渡される。提訴当時、小学校1年生だった子どもが中学3年生に、中学3年生だった子どもはすでに23歳となり、判決を受けられる原告がいなくなるため、苦渋の弁論終結となった。

弁論期日に先立ち、仙台市内をデモ行進する原告と弁護団

この裁判は2014年8月に、福島県内の小中学校に通う子ども24人が、居住する自治体を訴えたもの。提訴から8年が経過する中、原告らは次々と中学を卒業。原告として残っている2人も来年3月には中学を卒業し、判決を受ける権利を失うため、弁護団は、併合して弁論を行なっていた初期被曝の責任を問う国家賠償請求訴訟との分離を求めていた。

これに対し、仙台高等裁判所の石栗正子裁判長は、被ばくをせず教育を受ける権利の確認を求めている行政訴訟と、初期被曝の責任を問う国賠訴訟の分離を認め、弁護団が求めてい国賠訴訟の証人尋問については、11月14日の口頭弁論で採否を決定するとした。弁護団が求めている証人は、内堀雅雄福島県知事(当時=現知事)、荒竹宏幸福島県生活環境部長(当時)、鈴木元原子力安全委員会緊急事態応急対策調査員(当時)、坂東久美子文科省生涯学習政策局長(当時)、遠藤俊博福島県教育長(当時)の5人で、被告側の福島県や国はいずれも反対している。

福島県は、反対する理由として、荒竹元生活環境部長はすでに政府事故調査委員会のヒヤリングに答えていることを挙げる一方、現知事の内堀知事は、政府事故調のヒヤリングを受けていないためだとしている。これに対し、弁護団は、荒竹氏の政府事故調の調書では、肝心な部分が欠けていると反論。さらに、内堀氏については、当時の原発の責任者であり、オフサイトセンターの詰めていて内堀氏がヒヤリング対象になっていないわけがないと、尋問の必要性を強調した。

期日集会後の報告集会

内堀知事が政府事故調の被聴取者ではない?

福島県の準備書面によると、今回、証人尋問の申請が出ている内堀氏は、政府のヒヤリングを受けていないという。これについて、OurPlanet-TVが福島県に確認したところ、福島県原子力安全課の当時の担当者の記録によれば、内堀氏はヒヤリングは受けていないという。

一方、OurPlanet-TVは2019年1月、内閣府に対し、内堀氏の政府事故調のヒヤリング記録を開示請求したところ、内閣府は、行政文書の不存在を理由とする「不開示決定」ではなく、内堀氏のヒヤリング記録の存否を明らかにせず、開示請求自体を拒否した。公務員に対するヒヤリングでありながら、文書の存否を明らかにせず、情報公開請求そのものを拒否することは極めて異例なこと。

県のナンバー2で、オフサイトセンターに駆けつけた原発の責任者が、本当にヒヤリングを受けていないのか。実際には、ヒヤリングを受けていながら、その事実を隠しているのか。11年間にわたり、福島県の原発責任者が、事故当時の状況を語った記録が公開されていない事態は極めて重大であり、証人申請の採否が注目される。

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