2015/05/27 - 18:03

「マーケティング」「民活」を重視〜渋谷新区長

 
同性パートナーシップ条例を発案し、注目を集めている渋谷区の長谷部健氏が、初の記者会見に臨んだ。広告代理店出身の長谷部氏が会見で繰り返した言葉は、「成り上る」と「マーケティング」。「プロデューサー」として、民間企業を最大限に活用した区政運営への意欲を示した。
 
長谷部区長は、まず桑原区長が取り組んできた手厚い福祉と教育をしっかりと継承すると発言。徐々に自分なりの企画を盛り込む考えを示した。「パートナーシップ証明書」の発行は10月が目標と述べ、遅くとも年末までには実施したいとした。一方、LGBT当事者に対して差別的な取り扱いをした事業者への罰則については、「家を貸すか、貸さないかはオーナーの自由がある」として「積極的には罰則を設けない」との考えを示した。
 
新区庁舎に「シェアオフィス」
新庁舎については、地域コミュニティの活性化につながるような仕組みを取り入れたいと発言。具体的には、シェアオフィスやコミュニティFMなどが考えられるとの持論を展開した。
 
長谷部氏は、「渋谷はかつて、この町でなりあがろうとする人がたくさんいたが、今は、成り上ろうという人よりは、成り上った人が集まっている町になってしまっている」と指摘。「一緒に区の持っている課題を解決してもらえそうな人たちと一緒にシェアオフィスができたら」と述べた。10月には仮庁舎に引っ越す予定だ。
 
新宮下公園整備計画
また2月の議会で継続審議となった、宮下公園の整備計画については、9月の第3回定例議会に計画案を示すことを表明。反対の声があがったホテル建設については、渋谷にホテルが足りない現状があるとして、自身としては「ホテルは必要」との考えを述べた。
 
長谷部氏は「ホテルがあることで、区の収益があがるという計算だった。費用対効果を考えて「民間ももうかれば、区も儲かるといった仕組みが取り入れらたらいい」と期待をこめる。
 
宮下公園の整備をめぐっては、現在の「みやした公園」に改修する際、入札を経ずに、スポーツメーカーナイキとネーミングライツ契約を締結。行政代執行を行って、公園改修に反対していた野宿者や市民を、強制的に排除した。このあり方をめぐり、排除された市民や野宿者らが国家賠償訴訟を提訴。東京地方裁判所は今年3月、原告に勝訴の判決を言い渡し、渋谷区に賠償金11万円の支払いを命じた。判決では、野宿者に対する強制退去が違法である認定。また、公園計画自体においても、区議会を無視するなど違法な点があると指摘している。
 
宮下公園を、ナイキと契約してスポーツ公園に改修するとの発案し、区と企業の間を取り持ったのは、当時、区議員だった長谷部氏だ。長谷部氏は、同裁判ついて問われると「現在、控訴しているので、行方を見守る」とした上で、「意思決定に問題があれば、当然、議会の議決を得るような形にしたい」と解答。その一方で、今後も民間と事業を進めるとし、新たな仕組みを整備したいとの考えを示した。
 
また野宿者排除について長谷部氏は「僕は追い出し推進派でもないし、そんな発言をした覚えはない。自分はそんな風には考えていない」と釈明し。現在、福祉部を中心に、野宿者が社会復帰できるプロジェクトを立ち上げる準備があるとの考えを示した。
  


 
民間と行政の線引きあいまい
会見の中で、大切にしているスタンスについて問われ、「マーケティング」と回答した長谷部氏。行政よりも民間のシンクタンクなどのほうが未来予測などは優れているとして、民間の手法を取り入れる姿勢を鮮明に印象付けた。
 
また区議会との関係について、「もともと与党も野党もなくていいのではないか」と持論を展開。少数会派が、情報公開や質問時間などで制約を受けている件については、自身も少数会派であるにも関わらず、一部の野党について「自ら不利になるように導いている」と批判した。
 
配付資料
http://www.ourplanet-tv.org/files/150527shibuya.pdf
【YouTube版】「マーケティング」「民活」を重視〜渋谷新区長
https://www.youtube.com/watch?v=SIyshgQgwxM
OurPlanetTV制作ドキュメンタリー「宮下公園 TOKYO/SHIBUYA」

 

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