小児甲状腺がん
2023/03/20 - 13:30

線量の高い集団で甲状腺がん人数増加〜福島県評価部会

東京電力福島第一原子力事故後、福島県で実施されている甲状腺検査について評価する「甲状腺検査評価部会」の第20回会合が3月20日、7カ月ぶりに開催された。部会長の鈴木元国際医療福祉大クリニック院長は、次回の部会で4巡目までの結果を評価する報告書の素案を示すと述べたが、委員の任期の切れる今年7月までに、結論を出しのは難しいとの見通しを示した。

今日の会合で示されたのは、1巡目から4巡目までの「症例対象研究」と呼ばれる研究の結果。甲状腺がんに罹患したグループと罹患してないグループについて、被曝線量別に1〜3ミリシーベルト、3〜10ミリシーベルト、10ミリシーベルト以上という3つのグループに分けて、いくつかのモデルで比べた結果、線量が増えるほど、県民健康調査で見つかった甲状腺がん患者の人数は高くなるとの結果が出た。

3-1 3-1 マッチングモデル1
3-2 マッチングモデル2
3-3 マッチングモデル3

これについて、解析した福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センターの大平哲也健康調査支援部門長は、「有意差はない」と説明。また線量ごとに症例数が増える「用量反応関係もない」と説明した。

なお解析に際して使用した被ばく線量は、内部被ばく線量と外部被ばく線量の合算値(mSv;甲状腺等価線量)で、県が実施した県民健康調査の「基本調査」のデータを使用しているという。このうち内部被曝は、 2011 年 3 月 12 日から 3 月 25 日までの詳細版行動調査票に基づき、原発事故後 14 日間の水道水からの甲状腺等価線量と吸入被ばくによる甲状腺等価線量を合算したもの。部会後の記者会見で、鈴木部会長は、吸入被曝のもととなる大気中のヨウ素131の濃度はWSPEEDIのデータをもとにシミュレーションした寺田宏明らの解析結果を使用したことを明らかにした。


配布資料:https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21045b/kenkocyosa-kentoiinkai-b20.html

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