東京電力福島第一原発事故に伴う放射性物質の影響で甲状腺がんになったとして、事故当時、福島県内に住んでいた若者7人が東京電力に損害賠償を求めた「311子ども甲状腺がん裁判」の第7回口頭弁論が9月13日(水)に開かれた。裁判長の交代に伴い、原告側はこれまでの弁論内容を説明した。
これまでの裁判結果を説明した鈴木裕也弁護士は、通常10万に2人程度の小児甲状腺がんが、福島県民健康調査で多発していることを改めて指摘。被告・東京電力が、甲状腺がんが増えているのは、将来、治療の必要のない「潜在がん」を検査によって多数検出しているとの主張は、「机上の空論」だと批判した上で、原発事故によって放出された放射性物質に暴露したことにより、原告らが甲状腺がんになったと考えるのが合理的であると述べた。
傍聴席に原告と同世代の姿、多数
大学がまだ夏休みの時期であることから、傍聴者には、原告と同世代の若い学生の姿が多数見られた。事故当時小学生だった時に原発事故が起き、福島市から京都に避難した阿部ゆりかさんは「2週間前に県民健康調査の通知が来た。(甲状腺がんの問題は)私にとっても、一生、ついてくる話だと思っている。この裁判が立ち上がった時に、これは私たち自身のことだと感じて、支援をするようになった。今日、初めて裁判を傍聴し、鈴木弁護士が堂々とカッコよく陳述していて、わかりやすかった」「裁判長が良い判決を下してくれることを願っています」と力をこめた。
次回の口頭弁論期日は12月6日(水)14時から。原告の意見陳述が予定されている。