80年前の8月6日、広島の上空から投下された一発の核爆弾が、十数万人もの尊い命を奪った。広島市の平和記念公園では6日、平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)が執り行われ、国内外から参列者が集い、原爆で命を落とした十数万人を追悼し、核なき世界への誓いを新たにした。

慰霊碑の前には早朝から、老夫婦や子連れの家族など幅広い世代の人が参拝に訪れ、原爆犠牲者への追悼と、平和への祈りを捧げた。平和記念式典で8時15分に行われた黙祷では、式典会場に入れなかった大勢の市民が会場の外で黙祷する姿がみられた。

松井一實・広島市長は平和宣言で、「日本政府には、唯一の戦争被爆国として、また恒久平和を念願する国民の代表として、国際社会の分断解消に向け主導的な役割を果たしていただきたい」と呼びかけ、核兵器禁止条約の第1回再検討会議へのオブザーバー参加を政府に求めたが、石破茂・内閣総理大臣は、「唯一の戦争被爆国として核廃絶に向けた取り組みを主導すべき使命がある」と述べたものの、核兵器禁止条約への言及を避けた。
「核抑止はフィクション」

湯崎英彦・広島県知事は、核抑止論に対し強い疑問を投げかけた。「抑止とは、あくまで頭の中で構成された概念または心理、つまりフィクション」と述べ、核抑止の実効性そのものを批判。「自信過剰な指導者の出現、突出したエゴ、高揚した民衆の圧力、あるいは誤解や錯誤により抑止は破られてきた」と指摘した。
また、「核抑止の維持には年間14兆円以上が費やされている」と指摘。その一部でも「核なき新たな安全保障の構築にこそ頭脳と資源を注ぐべきだ」と訴えた。
さらに、核兵器廃絶は遠い理想ではなく、「実現しなければ死も意味しうる、現実的かつ具体的な目標」であると述べ、「我々も決して諦めず、粘り強く、核兵器廃絶という光に向けて這い進み、人類の、地球の生と安全を勝ち取ろうではありませんか」と力強く締めくくった。
平和宣言全文(広島市ホームページ)
https://www.city.hiroshima.lg.jp/atomicbomb-peace/1036662/1003065/1015114.html
広島県知事全文(広島県ホームページ)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/52/07heiwakinensikitentijiaisatu.html?utm_source=chatgpt.com
内閣総理大臣全文(首相官邸ホームページ)
https://www.kantei.go.jp/jp/103/statement/2025/0806hiroshima.html?utm_source=chatgpt.com