東京電力福島第一原発事故後に甲状腺がんになった若者が、自身の病気は原発事故で放出した放射性物質が原因だとして、東京電力に損害賠償を求めた「311子ども甲状腺がん裁判」の第16回口頭弁論が12月17日、東京地裁で開かれた。
チェルノブイリで活躍の医師「過剰診断論」を疑問視
この日、法廷には、チェルノブイリの子どもたちに対して医療支援を行ってきた菅谷昭さんの姿があった。菅谷さんは甲状腺外科の専門医で、1996年にベラルーシにわたり、現地で甲状腺がんとなった子どもたちの治療に従事してきた。閉廷後、記者会見に臨んだ菅谷さんはベラルーシでは、国を挙げて、子どもたちを支援していたことを引き合いに出し、「どうしてこんなに裁判に時間がかかるのか」と日本の現状を疑問視し、政府は原発を推進するなら、何か起こったときには、国が責任を持って支援すべきだと指摘した。
また、被告の東電が、「潜在がん」説を唱えていることを批判。「リンパ節転移や浸潤しているものを手術しなくていいというのは、これまでの医学の常識では考えられない」とした上で、手伝えることは手伝いたいと述べた。
来年9月にまとめ書面提出
口頭弁論期日に先立って開かれた進行協議で、裁判所は争点整理表を提示。原告弁護団によると、進行協議の結果、原告側が提出した津田敏秀岡山大学教授の原因確率に基づいて疫学的に裁判を判断すべきかどうかといった争点を第一の争点、甲状腺がんの発症に閾値があるかといった内容が第2の争点、県民健康調査の評価が第3の争点として位置付けたいとの方針を示したという。
また原告側は積み残した書面を1月までに提出し、被告が反論をした後、9月には争点整理表に基づいたまとめの書面を双方が提出し、12月から証人尋問が始まるとのスケジュールが示されたという。次回の期日は3月4日(水)の予定。