2013/11/26 - 04:30

「アリバイ作りなのか」 秘密保護法・福島公聴会

前半

後半

 
衆議院国家安全保障特別委員会は25日、福島市で秘密保護法案に関する地方公聴会を開いた。傍聴から締め出された市民が外で抗議を行う中、公聴会がはじまり、福島県浪江町の馬場有町長や福島県弁護士会の槙裕康副会長など、7人の意見陳述者が秘密保護法案に対し、反対の立場を次々と表明。馬場町長からは、東京電力福島第一原発事故の政府の対応を踏まえ「秘密の保護ではなく情報公開が一番大切だ」という声が上がり、特定秘密に関しては「秘密の範囲があいまいだ」という批判が相次いだ。
 
空席なのに市民締め出し
 
今回の傍聴枠は50人限定。枠は事前に各政党に割り当てられ、政党と繋がりをもたない市民は傍聴することが出来なかった。開始時間前には、福島の住民などおよそ10名が傍聴を求めて会場を訪れたが、会場には入れなかった。また事前にテレビでの生中継を希望した放送局もあったが、衆議院国家安全保障に関する特別委員会の福島地方公聴会担当者は「スペースの関係でテレビの生中継はお断りしている」としていた。しかし、当日公聴会が開かれた会場では空席や空スペースが目立った。
 

 

 
意見陳述者、全員が反対の意見述べる
 
浪江町の馬場町長は、東京電力福島第一原発事故の政府対応をふりかえり、SPEED I(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の情報が公開されず、町民の避難に生かせなかったことを指摘し、「情報公開すれば低線量被ばくを避けることができた。秘密ではなく、情報公開が一番大切だ」と訴えた。秘密保護法案に関しては「進め方が拙速。これから議論を深めていくべき。そんなに生易し問題ではない」と話した。
 
桜の聖母短期大学の二瓶由美子教授は「子どもたちの未来のために、今成すべきことは情報公開。これを阻むものは反対していく。特定秘密の拡大が危惧される。適正評価は様々なチャンスを狭めることとなる。民主主義にとって特定秘密保護法案は危険である」と法案の廃案を訴えた。
 
いわき短期大学の畠中信義特任教授は、「人権というものは長い歴史を持っている。人権とは人が人として生きるためのもの。秘密にして、人権が成立するでしょうか?(情報を)公開されてはじめて人は判断することが出来る。情報を隠して、国民の知識が増える訳ない。失ってしまえば二度と人権を戻す事はできない」と批判した。
 
浪江町長「アリバイ作りと感じる」
 
国家安全保障に関する特別委員会の額賀福志郎委員長(自民党)は、公聴会後の記者会見で、「すでに審議を40数時間している。国家と国民の安全を保つために今まで通りでいいのか議論を重ねて来ている。特定秘密は非常に限定された中で国が管理する。国家と国民の生命と財産を守るためのもの。情報と特定秘密が混同されていたが、(質疑などで)理解が深まった」と説明した。
 
公聴会終了後、浪江町の馬場町長は、「福島で公聴会が開かれたのはありがたい」と話したものの、「実際の流れとしてアリバイ作りとなっているのかなと感じる」と公聴会の感想を話した。 傍聴していた福島県三春町の武藤類子さんは、空席のまま進んだ公聴会に対して「もっとたくさんの人に公開されるべきだった。福島だけでなく、全国各地で公聴会を開き国民の声を聞いて欲しい」と訴えた。また、福島で公聴会が開かれた理由について「福島を制圧してしまえばいいと思っているのかなと思う。福島を押さえてこの国を押さえたいと思っているのではないか」と話した。
 
公聴会後の記者会見

傍聴した武藤類子さんインタビュー

 
「国家安全保障に関する特別委員会〜福島地方公聴会」
日時:11月25日(月)10時~12時55分
会場:ホテル辰巳屋(福島市栄町5-1)
 
<プログラム>
額賀団長あいさつ
○意見陳述者の意見陳述
馬場有(浪江町長)
槇裕康(福島弁護士会副会長)
二瓶由美子(桜の聖母短期大学キャリア教養学科教授)
名嘉幸照(株式会社東北エンタープライズ会長)
畠中信義(いわき短期大学と特任教授)
荒木貢(弁護士)
佐藤和良(いわき市議会議員)
 
○意見陳述者に対する質疑
今津寛  (自民)
近藤昭一 (民主)
丸山穂高 (維新)
遠山清彦 (公明)
畠中光成 (みんな)
赤嶺政賢 (共産)
玉城デニー(生活)
 

 

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