2019/12/25 - 20:41

避難解除、双葉3月4日、大熊5日〜帰還困難区域の一部

双葉町の協議後会見(左:鈴木正晃福島県副知事、中:松本洋平原子力災害現地対策本部長、右:伊澤史朗

東京電力福島第1原発事故で唯一全町避難が続く双葉町は26日、JR常磐線双葉駅の周辺など一部地域について、来年3月4日に避難指示解除することで国と合意した。双葉町にとっては初の避難指示解除であり、帰還困難区域の最初の解除となる。一方、今年4月に一部地域の避難指示が解除された大熊町も、翌日3月5日に大野駅周辺の避難指示解除することで合意した。福島県富岡町のJR夜ノ森駅周辺も来年3月10日に解除されることが決まっており、JR東日本は来年3月14日、この2駅を含む常磐線富岡―浪江の運行を再開し、9年ぶりの全線開通を目指している。

解除の対象となるのは、来年3月14日に全線再開予定のJR常磐線の双葉駅と駅前、町北東部の避難指示解除準備区域の浜野・両竹地区など帰還困難区域に指定された地域。町面積のわずか4%。双葉町の場合、避難指示解除はするものの、町民の帰還を前提としていない。

伊沢史朗双葉町長は「解除はスタートラインにすぎない。4年後の特定復興再生拠点区域に向けて、職員が全力で取り組む。」と述べた。中間貯蔵施設建設の影響などもあり、これまでの街や住宅には戻れないことから、駅の西側エリアに位置する復興再生拠点に新たな住宅を整備するなど、全く新たな町づくりを進める。

五輪聖火リレーで発信したい
避難指示解除の合意を受けて、伊沢町長は来年3月26日に広野町からスタートする聖火リレーのコースに追加してもらえるよう要望することも明らかにした。「もっとも被害が甚大な町だが、こうした厳しい中でも着々と復興が進んでいることや、住民の帰還が果たせるような状況にあることを発信できれば」と力を込めた。

聖火リレーのコースは、「復興五輪」であることを踏まえ、「復興の姿を県内外にみなさんに見ていただけるルートにしたい。」と述べた。

帰還困難区域避難指示解除から五輪聖火リレーまでのスケジュール

3月4日(水) 双葉町の一部避難指示解除(常磐線双葉駅周辺)
3月5日(木) 大熊町の一部避難指示解除(常磐線大野駅周辺)
3月10日(火)富岡町の一部避難指示解除(常磐線夜ノ森駅周辺)
3月14日(土)9年ぶりにJR常磐線全線再開(予定)
3月26日(木)五輪聖火リレーJビレッジからスタート
(広野町・楢葉町・いわき市・川内村・富岡町・大熊町・葛尾村・浪江町・南相馬市)

大熊町の協議後会見
一方、今年4月、居住制限区域だった大川原地区と避難指示解除準備区域だった中屋敷地区の避難指示が解除されていた大熊町は、大野駅周辺、大野病院の敷地、JRの敷地など面積約28ヘクタールを解除する。吉田淳大熊町長は町役場で「解除はあくまで仕切り直し。町民の帰還促進や移住者・企業の呼び込みにより、どう町を再興するかが本当の課題だ」と語った。

双葉町、大熊町、富岡町の新たな避難指示解除を受け、国道6号沿いのバリケードは撤去し、立ち入りの緩和を行う。それぞれの避難指示解除日の午前0時から順次開けていく。

避難指示解除をめぐっては、「年間20ミリシーベルトより下回っていること」「生活環境の除染が進んでいること」「町民との協議」の3要件が定められている。国の原子力災害対策本部の松本洋平本部長は、「除染の効果が認められて、放射線量は十分低減している」と述べた上で、大熊町で3回と双葉町で11回の説明会を開催したことを踏まえて、避難指示解除の要件を満たしたとの考えを示した。会見に同席した鈴木正晃福島県副知事は、「一人でも多くの人が故郷に帰れるように、引き続き国に支援を求めていく。」と述べた。国は期間困難区域全域の避難指示解除を目標に掲げている。

双葉町のモニタリングマップ(原子力規制委員会作成)

大熊町のモニタリングマップ(原子力規制委員会作成)

帰還困難区域等を対象とした詳細モニタリング結果(2019年3月29日)原子力規制委員会

大熊町の会見(左 吉田淳町長 中:松本洋平原子力災害現地対策本部長・伊澤史朗双葉町長・右:鈴木正晃福島県副知事)

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