福島第一原発事故
2021/07/23 - 16:47

福島の小児甲状腺がん287人〜事故10年で1万人に6人手術

東京電力福島第1原発事故に伴う福島県民の健康調査について議論している「県民健康調査」検討委員会が26日、福島市内で開かれた。今年3月までの甲状腺検査のの結果が発表され、4巡目で3人、25歳の節目検診で1人、穿刺細胞診で甲状腺がんの疑いがあると発表され、検査で見つかった甲状腺がんは260人となった。

県民健康調査の集計外で、2017年12月末までにがん登録で甲状腺がんと登録された27人を含めると、少なくとも287人が甲状腺がんと診断されていることとなる。また、そのうち手術を受けたのは、県のデータで判明しているだけで219人、がん登録のデータと合わせると、原発事故当時、福島県に在住していた18歳以下の子どものうち、少なくとも1万人に6人が甲状腺がんの手術を受けた計算になる。

今回は、3月までの甲状腺検査2巡目と3巡目の確定結果が公表されたほか、4巡目と25歳の節目検診の新たな検査結果も発表された。それによると、2巡目で甲状腺がんと診断を受けていた71人のうち、新たに1人が手術を受け、病理診断の結果、がんと確定した。2巡目では手術を受けた55人全てが乳頭がんと診断されている。

3巡目では、穿刺細胞診で甲状腺がんの疑いがあると診断された子ども31人のうち新たに2人が手術を受け、やはり甲状腺と診断された。病理診断の結果、2人とも乳頭がんと確定した。3巡目でも、やはり手術を受けた29人全てが乳頭がんと診断されている。

4巡目は、穿刺細胞診により甲状腺がんの疑いがあると診断された患者が3人増え、3巡目の31人より多い33人が悪性疑いと診断された。また、新たに2人が手術を受け、乳頭がんと確定した。4巡目で手術を受けたのは27人となり、やはり全員が乳頭がんと確定している。

25歳の節目検診も新たなデータが公表された。節目検診は対象者約8万7000人に対し、8.7%にあたる約7,000人しか検査を受けていない。にもかかわらず、甲状腺がんと診断されている人数は多い。今回、悪性疑いと診断された人が新たに1人増え、9人になった。

この9人のうち、5人が前回の検査を未受診だった。検査間隔が空いていることが影響し、2巡目で11.1ミリ、3巡目で12.9ミリ、4巡目で13.2ミリの平均腫瘍径が、節目検診では20.2ミリと2倍近く大きくなっている。

会議では、25歳の節目検診の受診率の低さが問題となったほか、環境省の田原克志環境保健部長が検査の任意性の確保を前回に続いて強く主張。学校の授業時間外での実施するよう求めた。また、環境省において、「放射能に関する誤解や偏見」を解くために、「ぐぐるプロジェクト」をスタートさせたと報告。小泉進次郎大臣も参加したキックオフイベントを開催したほか、今後、パンフレットなどを通じて、全国にPRすると強調した。

クリックすると「ぐぐるプロジェクト」のキックオフミーティングが視聴できます。

特設サイト「ぐぐるプロジェクト」公式ホームページ

また、広島大学 原爆放射線医科学研究所の稲葉俊哉委員や国立がん研究センターの中山富雄委員は甲状腺検査はやめるべきだと主張した。

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