福島第一原発事故
2022/08/01 - 11:27

「過剰診断」判断に長期フォロー必要〜鈴木元評価部会長

東京電力福島第一原子力事故後、福島県で実施されている甲状腺検査について評価する「甲状腺検査評価部会」の第19回会合が8月1日、福島市内で開かれた。部会長の鈴木元国際医療福祉大クリニック院長は、甲状腺検査について「過剰診断かどうかは現時点で判断できない」と述べ、20〜30年は追跡調査する必要があるとの見解を示した。

「過剰診断」かの判断、20〜30年かかる

「過剰診断」の判断には20〜30年かかる評価部会ではまず、国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の元日本代表で、東京医療保健大学の明石真言教授が、今年3月に日本語版を公開した同委員会の報告書について説明。2013年に刊行された報告書に比べて、被ばく線量が大幅に低減したなどと説明した。また、福島第1原発事故に伴う健康影響について、福島県内で甲状腺がんの発見率が上昇していることについて、放射線被曝の影響ではなく「高感度な検査」の結果であるとした。

これについて委員が、「スクリーニング」や「過剰診断」という言葉について改めて定義し、議論すべきでないかと指摘したが、鈴木部会長は、「通常、検出される臨床がんは、2〜3センチだが、福島県の検査で見つかっているがんは1.2〜1.3センチ程度」などと指摘。その一方で、個別のがんが前倒しで見つかる「スクリーニング効果」か、「過剰診断」かどうかを判断することは困難であるとの見方を示し、「20〜30年にわたってフォローしないと結論を出すのは難しい」と述べた。

100ミリシーベルト閾値論を否定

また、帝京大学ちば総合医療センターの南谷幹史教授が、報告書の中に、避難者の0.2%が、100ミリグレイを超えるとの記述があることについて、「この0.2%が100ミリグレイというのはどの程度、影響を受けるのか。これが甲状腺がんに絡んでいないのか。」と質問。これに対し、明石氏は、この数字は、集団を計算をしたもので、具体的な個人を指しているわけではないと釈明した上で、「0.2%に人口でかけて、これだけの人数に実際の甲状腺が出ているという内容ではない。」と否定した。

さらに、100ミリグレイという数字については、「甲状腺がんの吸収線量にはさまざまな議論があり、実効線量の100ミリシーベルトほど、100ミリグレイを超えると、確実に甲状腺を増やすという論文はない」と回答した。また、鈴木氏も記者会見で、「放射線のリスクはあくまで確率の話。」「(UNSCEARも)閾値があるから、(健康影響は)起きないという言い方は全然してない」と述べ 、100mグレイ以下でも線量効果関係があるとの考えを示した。

図 A-XV における 4 番目の例(避難者の事故直後 1 年間における甲状腺吸収線量の分布) は、避難者のほぼ全員が平均線量約 4.5mGy の 5 分の1から約 3 倍までの線量を受けていると推定 されたことを示している。ここでもまた、中央値と平均値の間に比較的大きい差異がある。避難者の約 15%が約 1mGy 以下の甲状腺吸収線量を受けていると推定され、約 0.2%が 100mGy を上回る同線量を受けていると推定された。

症例対照研究(ケースコントロール研究)も

評価部会では、甲状腺がんとなった患者と甲状腺がんになってない患者を比較する「症例対照研究」の試算結果も公表した。同研究は、福島医大が実施。基本調査を提出し、外部被曝線量がわかっている患者108人と、同じような条件でがんになっていない患者1080人を比較した。

解析を行った福島医大の大平哲也教授は、線量によって病気のある人とない人の人数に差はないと報告した。一方、10mSv以上の群はいずれのモデルでも、最も高いオッズ比を示した。


資料:https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/kenkocyosa-kentoiinkai-b19.html

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