リニア中央新幹線の建設をめぐり、工事認可の取り消しを求めて住民らが国を訴えている裁判の控訴審第6回口頭弁論が24日、東京高等裁判所で開かれた。住民側は前回に引き続き、地下水位の低下や地盤沈下が起きている岐阜県内の問題を取り上げ、リニア工事を継続することの危険性を訴えた。
原告代理人の関島保雄弁護士は、JR東海が6月6日の岐阜県環境影響評価審査会(地盤委員会)で、地下水対策工事を断念した経緯を報告した。JR東海が対策工事の断念を決めたのは、同じ対策工事を行なっていた鹿児島県の北薩トンネルで崩落事故が発生したためだとして、関島弁護士は「他に対策がない。大湫町の歴史的遺産が破壊されてしまった」と批判。「このような事態は他でも起こりうる」として、工事を中止するよう求めた。
特に南アルプストンネルでは、標高差や断層による地下水圧が極めて高く、トンネル工事で地下水の湧水が発生し、薬液注入工法を用いればより深刻な事態を引き起こす可能性があると指摘。十分な対策が取れない現状では、同様の事態が起きても、地下水の原状回復は難しく、水の流出を止めることができないとして、生態系や環境保全に大きな影響を及ぼしかねないと強調した。法廷では、大井川周辺の自然環境を撮影した映像も上映。トンネル工事によって生態系が失われかねないと訴えた。
関島弁護士は報告集会で、「トンネル工事は場所を問わず地下水に必ず影響を及ぼす。岐阜の問題にとどまらず、リニア全体に関わる重大な課題だ」と述べた。
次回の期日は10月30日