「物価が高騰して、生活が困窮している。」そんな学生が急増していることが、若者支援を行なっているNPOの調査で判明した。学生を対象に、6ヶ月分の食糧を無償で配布するプログラムを実施したところ、昨年の2.5倍の応募があり、アンケートに答えた学生の9割が「生活が苦しくなった」と答えたという。
調査を行なったのは認定NPO法人「D×P」。同団体は、経済的に困窮している若者を対象に、オンライン相談や居場所づくりを行ってきた。同団体が今年7月、給付型奨学金を受給している学生向けに、6ヶ月間の食糧を支援するプログラムを行ったところ、昨年より2.5倍の354人からの応募があったという。
応募した学生にアンケートを行ったところ、応募者の半数がひとり親家庭で育った人で、親の経済支援に頼れず、バイト代と奨学金を組み合わせて生活費にしていた学生が全体の55%にのぼった。また、物価上昇の影響については、91%の学生が「苦しくなった」と回答。経済的に困窮する学生が増加していることが浮き彫りになった。
記者会見では、生活への不安を訴える学生の音声メッセージも流された。看護大学の女性は、3年生になると宿泊を伴う実習が始まるため、宿泊費や交通費も増える上、アルバイトが制限されると説明。「実習期間中、金銭面が大丈夫なのか」と、不安を抱える胸の内を吐露した。
認定NPO法人「D×P」の今井紀明理事長は記者会見で、学生の困窮の背景に、奨学金の給付額が上がっていないことがあると指摘。総務省の消費者物価指数を基準にすると、この5年間で物価は11.7%も上昇し、学費も値上がりしているにも関わらず、奨学金の給付額は上がっていないとして、政府に対して、学生への緊急支援を行うよう訴えた。また、中長期的には、物価変動に応じて、給付額を調整する「物価スライド制」を導入することを提言した。「1日1食で我慢しているという声が多数届いている。この状況をなんとかしたい」と語った。