ナイジェリア出身の女性が13日、難民不認定処分の取消しなどを求め、東京地方裁判所に提訴した。女性は、ナイジェリア南東部ビアフラ地域の独立を求める団体の日本支部で中心的な役割を担っており、帰国すれば命の危険にさらされると訴えている。
提訴したのは、ナイジェリア国籍のオブエザ・エリザベス・アルオリウォさん。母国の伝統的慣習であるFGM(女性性器切除)から逃れるため、1991年に来日した。その後、いったん出国し、1995年に別人名義で再入国。2006年に東京出入国在留管理局(東京入管)に出頭し、入管法に違反している事実を申告した。その後、2011年と2016年に、入管施設に収容され、現在は仮放免の状態にある。
エリザベスさんは入管施設に収容された2000年代後半以降、仮放免中の身でありながら、施設に収容されている別の外国人を訪問して、差し入れや励ましを行ったり、仮放免者への生活支援などに取り組んできた。その活動は新聞やテレビなど多くのメディアで紹介されている。
さらに、その取り組みは、居住地である茨城県牛久市の市議会を動かし、2023年12月には、市議会が国に対し在留特別許可を求める意見書を提出するに至った。
「帰国すれば殺される」
エリザベスさんは2016年以降、ビアフラ地域の独立を求める団体の日本支部で中心メンバーとして活動している。ナイジェリアでは同団体のメンバーや支持者に対する政府の弾圧が続き、多数の死傷者が出ているほか、指導者も拘束され終身刑に服しているとされる。エリザベスさんは日本国内で、団体の象徴的存在として実名を公表し、講演やメディア出演を重ねてきた。このため、帰国すれば反政府活動家として拘束や迫害を受けるおそれがあるとしている。
こうした事情にもかかわらず、2025年10月に難民不認定処分を受けたことから、今回、処分の取消しなどを求めて提訴に踏み切った。
エリザベスさんは提訴後の会見で、「帰国すれば殺される。とても怖い」と述べ、改めて難民認定を求めた。また代理人の駒井知会弁護士は「エリザベスさんは政治的難民であり、ナイジェリアに帰国すれば極めて危険な状況に置かれることは明らかだ」と強調した。
早期の提訴〜背景に「不法滞在者ゼロプラン」
駒井弁護士によると、昨年10月の難民不認定処分については現在、不服申立て(審査請求)の手続きが進んでおり、難民認定が認められる可能性は残されているという。通常は、その結果を待ってから訴訟を起こすが、今回は提訴を急いだ。
駒井弁護士はその理由について、昨年から運用が始まった非正規滞在者の強制送還を強化する「ゼロプラン(不法滞在者ゼロプラン)」以降、難民申請者であっても裁判中に強制送還されるケースが出ているためだと説明する。
駒井弁護士は「審査請求中は、かろうじて送還停止効(強制送還の停止)が維持される。この期間中に裁判所にエリザベスさんを政治難民として認めてほしい」と述べ、「『ゼロプラン』後に政治難民をどう守るのか。この訴訟を通じて示したい」と語った。