リニア(大深度)
2025/07/28 - 14:08

平穏生活権の侵害「半永久的に続く」原告ら訴え〜東京外環道訴訟

東京外かく環状道路(東京外環道)の周辺の住民らが、事業認可処分の取り消しを求めている裁判の第26回口頭弁論が23日、東京地裁で開かれた。東京外環道をめぐっては2020年10月、調布市内の地下トンネルで陥没事故が起き、事故現場を含む約9キロにわたってトンネル工事が中断されているが、他の地域では工事が再開されている。

陥没事故が起きたのは、東京都練馬区の大泉ジャンクション(JCT)から東名高速道路へ接続する地下トンネル。道路が陥没したり、空洞が生じるなどが起き、トンネル直上の民家40〜50軒が移転の対象となった。同トンネルは大深度法によって工事が進められているため、地権者の承諾などは必要とされていない。

原告代理人の遠藤憲一弁護士は、トンネル工事を再開する根拠となった国の再発防止対策について、「事故への対応策が具体的に示されておらず、工事再開後にも事故が起きている」と批判。また浅野史生弁護士は、工事による住民への精神的な影響について説明した。

浅野弁護士は、住民は騒音や振動を受け、陥没のリスクに怯えながら生活していると指摘。工事によって、住民の生命や健康、身体が危険にさらされているとした上で、事業者から十分な説明がないことが、住民の不安を増幅させていると批判した。また、不安と混乱によって地域の力が低下し、地域社会の破壊につながると指摘。工事後も住民の平穏な生活は侵害され続け、「住民は半永久的に苦しむことになる」と訴えた。

期日後の報告集会で、これから工事が始まる杉並区在住の原告・岡田光生さんは、事業者が情報を提供する住民の範囲を狭く限定しようとしていることを問題視。周辺には工事ルートなどを知らない住民も多くいるとして、「そうした人たちにも知らせていきたい」と抱負を語った。

次回期日は10月29日。

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