リニア中央新幹線の建設をめぐり、工事認可の取り消しを求めて住民らが国を訴えている裁判の控訴審第7回口頭弁論が10月30日、東京高等裁判所で開かれた。
原告側は、リニア工事のトンネル掘削に伴い、法令の基準値を超える自然由来の重金属(ヒ素、セレン等)などの有害成分を含む「要対策土」が発生するにもかかわらず、十分な環境影響評価が行われないまま国が認可したとして、違法性を主張した。
関島保雄弁護士は法廷で、2014年に、静岡県知事が意見書を出し、環境影響評価の不十分さを指摘していたにもかかわらず、JR東海は対策をしないまま、トンネルの掘削地点から20キロ離れた大井川流域の藤島に盛り土を計画したと指摘。静岡県が条例で禁止していた、事業区域外では要対策土の盛り土について、国は、藤島も事業区域として扱えるとの解釈を示したため、静岡県が容認に転じた経緯を説明し、「違法な法律および条例の解釈の適用だ」と一連の流れを厳しく批判した。
また長野県の豊丘村でも「要対策土」をめぐる問題が起きていると指摘。JR東海は当初「(掘削で生じた)土の置場には基準値に適合した土だけを入れる」と約束していたにも関わらず、今年5月の住民説明会で突如、要対策土も入れると表明したとして、関島弁護士は、環境影響評価に記載されていない違法な手続きだと批判した。
関島弁護士は報告集会で、「事前の環境影響評価や認可の時点できちんと対応していれば、今のような状況は生まれなかった」と指摘。今後、さらに環境影響評価が不備について反論していきたいと述べた。
次回期日は2月5日。