移民難民
2025/12/19 - 17:50

「恣意的な職務質問に歯止めを」〜レイシャルプロファイリング裁判

人種や肌の色など外見を理由とする職務質問は違法だとして、海外にルーツを持つ男性3人が国などに損害賠償を求めている訴訟の第8回口頭弁論が16日、東京地裁で開かれた。原告代理人の谷口太規弁護士がプレゼンを行い、原告らは、国側が主張するような交通違反や不審な行為はしていないと主張した。

国側が原告のシェルトンさんに対し、進路変更違反をしたと主張している点については、「違犯切符が切られていないことから、違反がなかったことは明らかだ」と反論。また、警察官がシェルトンさんに職質する際に、初めて認識した時点での距離は40メートルもあり、「見た目による職務質問ではなかった」とする国側の説明についても反論。「実際の距離は約25メートルで、海外ルーツという容姿を認めたために、(シェルトンさんを)停止させた」と指摘した。

また原告マシューさんが車の運転中に職質を受けた際、警察官から「この付近で外国の方が運転しているのはお見かけしないので」と声を掛けられた点を問題視。国側は、マシューさんが車の運転中に目をパトカーに向ける一方、顔は背ける不審な動きをしたと指摘している点についても、運転している人間の動きとして不自然だと批判。警察官の証言の信用性に疑問を呈した。

さらに、原告ゼインさんが、パトカーが通りかかった際に、建物の影に隠れるような行動を取ったとする国側の主張についても、国側が主張している場所と実際にいた場所は異なると反論。隠れるような動きはしていないだけでなく、警察が職務質問のために迂回して現場に戻った際にも、その場にとどまっていたとして、「国側の説明には矛盾がある」と批判した。

恣意的な職質、「警職法」違反でも「警察法」で適法?〜原告側が批判

谷口弁護士は、仮に国側が主張するような不審な行為があったとしても、警察の職務執行の権限の範囲を定める「警察官職務執行法(警職法)」を根拠に、警察が職務を行う際、たとえ任意の手段であっても、警察官が主観的・恣意的な判断を行うことは許されていないと主張。職務質問には、客観的で個別具体的な根拠が必要であると指摘した。

さらに、国側が「警察法」を根拠に、たとえ「警職法」の要件を満たさなくても、警察の責務を果たすために行う任意行為は許容されるとの主張も批判。「警察法」制定経緯をめぐる国会答弁などを踏まえ、「警察法は職務質問の直接の根拠にはならない」と指摘した。

原告代理人の千葉飛鳥弁護士は期日後の報告集会で、「法の歯止めとして、警察官の権限の役割を再確認し、濫用を許さないことを、司法の判断で求めたい」と意気込みを語った。次回の期日は3月12日。

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