産業用機械メーカー「大川原化工機」をめぐる冤罪事件で、勾留中に胃がんで死亡した同社元顧問の遺族が6日、闘病期間中を含めて保釈請求を認めなかった裁判官の一連の判断は違法だとして、国に約1億7000万円の損害賠償を求め、東京地方裁判所に提訴した。遺族側は「裁判官の判断が責任を問われないのは不合理だ」として、その違法性を問うとしている。
訴状などによると、この事件は、大川原化工機の顧問だった相嶋静夫さんが、液体を霧状にして乾燥させる噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を経済産業省の許可を得ずに中国と韓国に輸出したとして、外為法違反の疑いで2020年3月に逮捕・起訴されたものの、逮捕から約1年半後、公判開始前に検察が立証は困難と判断して公訴を取り消し、裁判所がこれを認めて公訴棄却となった。
相嶋さんは一貫して無罪を主張し、勾留されていた約11か月の間に計7回にわたり保釈を請求したが、裁判所はいずれも証拠隠滅のおそれがあるなどとして却下した。勾留中に胃がんが判明した後も保釈は認められず、2021年2月に死亡した。遺族側は、保釈を認めなかった37人の裁判官の判断について、違法だったと主張している。
この事件をめぐっては、別の国家賠償請求訴訟で、警察官と検察官の行為について違法性が認定され、国と東京都に賠償を命じる判決が確定している。
提訴後に記者会見した遺族は、「当初は裁判官が警察や検察に迎合した判断をしているとは思ってもみなかった。今回の裁判は、人権を侵害した裁判官の責任をどう判断するのかが問われている」と述べ、「裁判官の在り方を社会と共有したい」と語った。