2014/04/10 - 16:35

「移動教室」いよいよ本格始動へ〜福島県が説明会

福島県は8日、福島の子どもたちを対象とする「自然体験活動」の説明会を開催した。同時事業は、原発事故後、屋外での活動が制限されていた子どもたちが、自然の中でのびのびと過ごせるようにと2011年度から実施されていたが、これまでは県内での体験に限られていた。しかし、文科省が学校単位の体験活動を事業化。今年度、約3億円の予算を確保し、県外での活動も対象となった
 
説明会では、冒頭に福島県教育庁社会教育課の佐川正人課長が挨拶に立ち、「子どもたちの豊かな人間性や、生きる力の育成に欠かせない自然体験活動を行う機会を充実させたい」と事業の目的を話した。
 
続いて、文科省のスポーツ青少年局青少年課の小野保参事官補佐が、学校や社会教育団体といったまとまった集団を支援する意義を説明。事業化によって「長期間の宿泊事業を安定的に効果的に実施することが可能になる」と述べた。
 
2012年度から、学校単位で県外に学習の場を移す「移動教室」を展開してきた伊達市教育委員会の佐藤喜夫課長が事例を発表し、調整役のNPOや受け入れ先の新潟県見附市との連携や、教育的な効果を解説。「新たに事業を立ち上げるには相当な労力を要するが、子どもたちのためにやりがいのある仕事」と話した。
 
同事業は、教育的な側面に加え、子どもたちの被曝低減につながる、いわゆる「保養」の意味がある。説明会には、福島県内18市町村の教育委員会のほか、子どもたちの保養プロクラムを展開してきた31のNPO団体も参加し、意見交換が行われた。
 
子どもの保養について取り組んできたNPO法人シャロームの吉野裕之さんは「NPOと行政、旅行代理店が関係性をつくっていく最初のきっかけになった。次回は福島県主催で県内や県外の民間の団体と学校関係者などが交流する機会を作っていただきたい」と期待を込める。
 
同事業は、OurPlanetTVが2012年9月に配信した番組 『「移動教室」で教育を変える!~伊達市の挑戦』がきっかけとなった。同年10月には「国会で復興予算を福島の子どもたちのために使うよう求める院内集会」を開催。大きな反響を呼び、今回の事業拡充につながった。
 
説明会に参加した市町村
福島市、伊達市、桑折町、国見町、本宮市、大玉村、鏡石、石川町、平田村、古殿町、西郷村、中島村、矢祭町、会津坂下町、湯川村、浪江町、双葉町、いわき市
説明会に参加したNPO団体等
NPO法人シャローム災害支援センター、311受入全国協議会、なかのアクション子ども保養プロジェクト、東日本大震災復興支援財団など31団体
 
関連サイト
ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業
http://www.syakai.fks.ed.jp/project5/project5.htm
 
関連番組
2012年9月11日配信
「移動教室」で教育を変える!~伊達市の挑戦
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1437
2012年10月19日配信
「移動教室に復興予算を」〜福島・伊達の校長ら国に訴え
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1456
 

 


 

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