福島第一原発事故
2013/06/06 - 03:56

甲状腺がん12人・悪性疑い15人〜福島県調査

(開始30分ほど音声が聞き取りにくくなっています。ご了承ください)
 
東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県民健康管理調査で5日、県の検討会が開かれ、事故当時18歳以下だった子どもの甲状腺がんが、手術によって新たに9人「確定」し12人にとなった。また、細胞診で「悪性」または「悪性疑い」と診断された人は15人に増えた。
 
新座長は星北斗医師、副座長に清水修二福島大学教授
福島県民健康調査の検討委員会は2011年5月から開催され、今回で11回目となる。「秘密会」の開催や、実施主体である福島県立医科大の関係者が多数含まれていることに批判が集まり、前回2月13日に開催された第10回検討会を最後に、福島県立医大の山下俊一副学長が座長から退任。今回より委員が大幅に刷新された。検討委員会では、冒頭に座長の互選を行い、山下氏の後任として、福島県医師会の星北斗常任理事が座長に選ばれた。また副座長には、福島大学の清水修二教授が選任された。
 
検討委員会では、県民全てを対象に実施している 基本調査のほか、事故当時18歳以下だった子どもに実施している「甲状腺検査」、避難区域などの住民に実施している「健康診査」と「こころの健康度・生活習慣に関する調査」。更に「妊産婦に関する調査」について報告が行われ、委員による検討が行われた。
 
甲状腺がん新たに9人、疑い15人
今回も注目を集めたのは甲状腺検査。福島県立医大県民健康管理センターの甲状腺検査部門長・鈴木眞一教授が説明に立ち、主に平成23年度と24年度に実施した検査の結果を報告した。それによると、平成23年と24年に1次検査受診したのは、それぞれ39,193人、133,787人で、そのうち、2次検査を終了した計543(H23年160人、H24年383人)のうち、5月27日までに227人(H23年82人、H24年145人)に細胞診を実施。28人が悪性または悪性の疑いと診断された。更にこのうち、13人が手術を終え、12人が甲状腺がんが確定したとの診断結果が公表された。前回では、甲状腺がんの確定診断例が3例、悪性疑い7例と報告されていた。
 

(検討委員会の資料から抜粋)

 
甲状腺の専門家の日本医科大学内分泌外科大学院の清水一雄教授は、この数値に関して「乳頭がんはよくあるがんなので、スクリーニングによって、このくらいは見つかってもおかしくない」と評価。被曝影響ではないとの考えを示した。
 
また一般的に、甲状腺がんは、女性の罹患率が高いのに対し、今回、男性のほうが高率だったことに対し、鈴木教授は「チェルノブイリでは、男の子のほうが悪い症例が多いという話があるが、今回は全てが軽度。全ての検査が終了していないために誤差が生じている可能性がある」と説明した。
 
一方、検討委員会後に開催された記者会見では、記者の間から、「多発ではないのか」「機械が良くなれば、むしろ、4年後までの潜伏期のがんが見つかっている可能性もあるのではないか」との質問が相次いだ。甲状腺検査に関しては、日本学術会議の春日文子副会長が、検討委員会の中で、「まだ詳細なデータが示されておらず分からないこともある。個別に部会を作って検討してはどうか」と提案し、星座長が検討することになった。
 
検討委員会後の記者会見

 
市民の不信が根強い福島県民健康管理調査。今後、信頼を得られるのかを占う場ともなった今回の検討委員会だが、説明資料などは、市町村別や年齢別、細胞診後のデータが示されるなど、これまでに比べ情報量が大幅に増加した。一方で、記者会見を30分で区切り、委員が全員退席する事態ともなり、情報公開や説明責任といった部分では、更に改善が求められる。
 
第11回福島県民健康管理調査配布資料(全て)
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/250605siryouikkatu.pdf
甲状腺検査の結果(第11回福島県民健康管理調査配布資料)
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/250605siryou2.pdf
 

 


 

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