三井不動産は1日、渋谷区・宮下公園の再開発のための解体工事に着工した。公園前には、計画に反対する市民らが集まり「工事を止めろ」と抗議の声を上げた。
朝9時すぎ、建設会社の作業員30人ほどが公園内の重機の移動を開始。チェーンソーやショベルカーを使って、木を引き抜く作業をはじめた。公園前には、野宿労働者や支援者など20人が駆けつけ、「宮下公園を存続させよう」という横断幕を広げ、「公園の木を切るな」「ビルとホテルにしないで」と声をあげた。
宮下公園をめぐっては、渋谷区が2009年、スポーツメーカーのナイキとネーミングライツ契約を結び、スポーツパークを建設。その際、公園内で生活していた野宿者などを強制的に排除する行政代執行を実施。排除に問題があったとして、渋谷区は裁判で敗訴している。
しかし、渋谷区は五輪開催が決まると、耐震工事を名目とした、大規模な再整備事業を計画。翌年3月、高層ホテルを建設する三井不動産の提案を採用した。公園の場所には、3階建ての商業施設と17階建てのホテルが建設される予定で、公園は商業施設の屋上の上に整備される。渋谷区は、ナイキとのネーミングライツ契約がまだ残っている中で、今年3月には、スポーツパークの閉鎖を強行した。
ネーミングライツ問題が表面化して以降、宮下公園の問題に取り組んでいる小川てつオさんは、今回の計画について、「公園の価値が損なわれる。公園の商業化の究極的な形だ」と批判。計画を進めている長谷部区長についても、「野宿者の敵視と公園の公共性の軽視がみられる。」と指摘した。小川さんらは、これまで繰り返し、渋谷区を訪問し、長谷部区長との面会を求めているが実現していない。
渋谷駅周辺の野宿労働者を支援している市民団体「渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合(のじれん)」の黒岩大助さんは、「宮下公園はかつて野宿者の居場所や集会の場所でもあった。その機能が根底からくつがえされる」と肩を落とす。今後、周辺に寝泊りする野宿者に対する強制排除が行われる可能性もあり、引き続き抗議活動を続けていくという。
関連サイト
みんなの宮下公園を守る会
http://minnanokouenn.blogspot.jp/
のじれん-渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合
http://nojiren.wix.com/index