LGBTQ
2022/04/11 - 10:53

「災害弔慰金」同性パートナーにも〜世田谷区

東京都世田谷区では2022年4月から、災害で同性パートナーを亡くした人にもに災害弔慰金を支給する新制度が始まった。「災害弔慰金」は上位法である「災害弔慰金の支給等に関する法律」で支給対象が定められており、男女であれば事実婚も対象であるのに対し、同性パートナーについては対象外だった。同弔慰金を同性パートナーにも認めるのは全国でも初めて。

世田谷区には性的マイノリティの方の差別を禁止する条例(多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例:2018年4月施行)があることから、2019年9月、上川あや世田谷区議員が、同性パートナーが対象とされていないのは「差別的」であると指摘。これを受け世田谷区は、国の上位法である災害弔慰金支給の解釈では同性パートナーを対象とできないため、世田谷区独自の取組として、同性パートナーも異性カップルと実質的平等となる災害弔慰金支給の新制度を、2022年4月から開始した。

2019年9月18日 世田谷区 本会議 一般質問

「世田谷区には居場所がある」

昨年、京都から世田谷区に移住した勝山さん・KANEさんカップルは「世田谷区には居場所がある」と感じるという。同性パートナーシップ宣誓制度を申請するため世田谷区役所を訪れた際、職員から世田谷区の多様な取組を教えてもらい、世田谷区はただ同性パートナーシップ制度を設けているだけでなく、実践している印象を受けたという。災害弔慰金の新制度についても「びっくりした。感動したという意味でびっくり。」「同性カップルだから権利保障というところでは守ってもらえないと思っていた。気にもしないレベルのこと。取り組んでくださってびっくり」と喜ぶ。

2021年世田谷区 同性パートナーシップ宣誓書を受け取り記念撮影する勝山さんKANEさんカップル

新たな制度を導入した世田谷区では性的指向を理由とした差別を禁止している。性的マイノリティの人権問題に詳しい一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さんは「国の制度や法令ではサポートできないことについて、自治体で独自にサポートしていくという姿勢は凄く大事」と評価する。

岩手県盛岡市の加藤麻衣市議会議員は、制度の必要性に加え、社会のありかたとして普段から「同性カップルがいて当たり前」という雰囲気づくりが必要であり、災害対策は「災害時と常時からの対策」この両輪が必要と述べる。

「細々としたことがたくさんあり過ぎて、全てを把握しきれない 」

こうした動きについて、同性婚訴訟原告のひとりの小野春さんは、改めて同性婚の必要性を訴える。同性パートナーが災害弔慰金の対象外だったこと知り、「結局こういった細々としたことがたくさんあり過ぎて、全てを把握しきれない状況。同性婚があれば、こういった事は解決する。」と述べる。同様に松岡宗嗣さんも「そもそも、個別の自治体でやらないといけないこと自体が問題。」であり、同性婚を認めれば、自治体としてもあえて特別な対応をしなくても男女と同じように対応すればいいだけで済むと述べた。

■■災害弔慰金等の支給及び災害援護資金貸付について■■

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/005/003/004/d00131188.html

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