LGBTQ
2022/06/10 - 18:03

「普通の生活がほしい」外国人同性パートナーの在留資格を求める訴訟が結審~判決は9月30日~

外国人同性パートナーと日本で生活がしたいーーー6月6日、外国人同性パートナーの在留資格を求め、 東京出入国在留管理局と国を訴えた裁判の、東京地裁が結審した。判決は9月30日に言い渡される。

「普通の生活がほしい」

最後の期日となった裁判の後、そう口にしたのはアンドリューさんだ。

アメリカ人のアンドリューさんと日本人の康平さんは、日本に暮らす同性カップルだ。ところが、 アンドリューさんの在留資格の有無は不安定な状況が続いている。

2004年に出会い、 2015年にはアメリカで同性婚を果たした2人。ところが、生活の拠点を日本に移してから、アンドリューさんが康平さんの配偶者として認められない状況が続いている。日本では同性婚が認められていないからだ。アンドリューさんはこれまで、康平さんと日本で生活するため「投資・経営」の特定活動在留資格を取得し生活していたが、経営が難しくなり、在留資格を失う危機に直面した。2018年、特定活動から定住者としての在留資格変更を東京出入国在留管理局に求めたが、計5回にわたり拒否された。そして2019年9月13日、 アンドリューさんと康平さんは、定住者在留資格を求め、東京出入国在留管理局と国を相手取り裁判を起こした。

今回の期日では原告代理人の永野靖さんが意見陳述をし、「二人は特別な権利を主張しているわけではない。異性カップルと同じように、普通の生活がしたいだけ、ささやかな願いをかなえたいのです」と述べた。康平さんとの生活のために全てのキャリアを捨てたアンドリューさんは既に50歳を越えている。今から仕事を探すことは困難である。また、康平さんは日本の大手企業に勤めており、アンドリューさんを支えるだけの収入はあるという。これに対し永野さんが康平さんに「負担になりませんか?」ときいたところ、「家族なんだから当たり前です」と答えた。アメリカでの結婚の際はアンドリューさんの母が証人になってくれた。周囲も2人を受け入れているという。しかし、日本では、異性カップル同士であれば当たり前に手に入る生活が、2人には認められていない。こうした差別が日本国内で自然視されていることに原告の2人は「怒りをおぼえる」と証言している。康平さんは「これは日本人の問題。だから、日本人である私が訴訟をしないといけない」と立ち上がった。

同性婚が認められている国同士で婚姻した外国人同性カップルであれば、日本で暮らす際、片方が在留資格を持っていれば、もう片方には特定活動在留資格が認められる。それと同じことをするためには、日本人である康平さんが日本国籍を捨て、アメリカ国籍を取得しなければならないことを意味する。

出入国管理庁のホームページによると、定住者とは「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者該当例としては、第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等。」と記載されている。アンドリューさんはこの「特別な理由」に該当すると主張している。

裁判の後、弁護士の鈴木雅子さんは「まず認めてほしいのは二人は家族であるということ。家族が一緒に生きていきたい。そういう裁判なのだということを主張した。そこを認めてほしいというのが大きくあります」と述べた。また、「国は原告を”婚姻してないでしょ”と言いますが、国が婚姻という選択肢を奪った状態で ”婚姻してないでしょ” と言われても、それは奪われて出来ないことであるわけだから、出来ないことを”やってないじゃないですか”と言われるのは、差別でしかない」と主張した。康平さんは「良い結果になることを願っています」と口にした。

判決は9月30日。同性カップルの人権をめぐっては「結婚の自由をすべての人に」訴訟(同性婚訴訟)の関西訴訟が6月20日に判決を控えている。

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