小児甲状腺がん
2022/08/23 - 17:01

「原告の声を聞いて」署名提出〜小児甲状腺がん裁判

「原告の若者たち全員に意見陳述をさせてください。」

東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う被曝により甲状腺がんになったとして、東京電力を訴えている「311子ども甲状腺がん裁判」をめぐり、原告の支援団体が23日、原告全員の意見陳述などを求める署名を裁判所に提出した。

署名を提出したのは、「311甲状腺がん子ども支援ネットワーク」。原告全員の意見陳述と「大法廷」で裁判を求めて、6月から呼びかけていた署名6,395筆を東京地方裁判所に提出した。提出に先立ち、記者会見をした弁護団の北村賢二郎弁護士は、「原告本人の苦しみや思いといった被害の実相について、本人の声を直接聞くのが極めて重要」だと意見陳述の重要性を訴えた。

また2人の原告を担当している斉藤悠貴弁護士は、比較的若い世代が原告となっている今回の裁判について、「小さい子どもの頃に病気になり、両親に心配かけてはいけないと、原告が自分の思いを封じ込んできた」と説明。何度も聞き取りを重ねていく中で、ようやく「隠していた話、秘めた思い出てくる」特徴があるとした上で、原告一人の意見陳述を準備するだけでも力を注力しなければならず、1回の期日に複数の原告の意見陳述を行うのは極めて難しいと述べた。

意見陳述を経て、原告同士が気持ち語れるように

会見に参加した原告も、「この裁判に参加する頃は、つらかった経験や気持ちを他の人に話すことはほとんどない状況だった」と振り返り、「原告2番さんが前回(第1回口頭弁論に向けて)、2カ月かけて自分の苦しみとしっかり向き合って言葉にし、裁判官に直接声を届けたことをきっかけに、同じような境遇の人たちの気持ちを知ることができ、原告同士で自分の気持ちを語れるようになってきた。」と原告の思いを述べた。


北村弁護士は、心を閉ざしてきた原告が、裁判を通じて、自分の被害に向き合い始めていることについて「本人にとっては傷口に塩を塗るようなことだが、新たに前に踏み出すために必要なステップだと思う。」を感想を述べ、「どんなにつらいことでも、それに向き合うことで本来的に救済される。」「本当にこれから前に進んでいくためには、絶対必要なことだと思う」と力を込めた。

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