小児甲状腺がん
2025/05/27 - 17:15

18歳以下に再発リスク〜福島の甲状腺がん

福島で見つかっている甲状腺がん患者をめぐり、福島県立医科大学(以下、福島医大)の塩功貴医師は5月22日、日本内分泌外科学会で、再発の危険因子に関する解析結果を発表した。福島で見つかっている小児・若年甲状腺がん患者の再発について、詳しく学会で発表するのは、2023年12月の日本甲状腺学会における鈴木眞一教授(当時)の発表に次いで2回目となる。

発表によると、解析対象は、「県民健康調査」で細胞診を行い悪性または悪性疑いと診断された患者のうち、2012年6月から2021年9月までに福島医大で治療を行った220人から、肺転移を来していた患者など7人を除いた計213人。若年の甲状腺がんは予後が良好と言われるが、再発率は2割に上る報告もあるため、再発リスクの因子を解析した。

213人の年齢や術式、病理所見と予後の関係性を後ろ向きに検討したところ、観察期間中、17人に甲状腺癌の再発が認められたという。2023年の鈴木氏の学会発表では、21人に再発が認められたと公表していたが、今回は、肺転移症例5人を除外したため、4人少ない人数となったと見られる。

18歳以下の患者に再発リスク

解析によると、再発リスクが有意に高かったのは、1回の手術時年齢が低い患者で、15歳未満では、18歳以上の患者より、ハザード比が6倍以上高く、15歳から17歳でも3.7倍高かった。全摘と片葉切除という術式の違いによる差はなかったという。

一方、片葉切除の患者の場合、年齢のほか、複数の場所に腫瘤が発生している多発性腫瘤のある患者や、病理検査の結果、甲状腺癌組織が広範囲に点在している「腺内散布」と呼ばれる状態をを呈している患者、外側部のリンパ節転移(pN1b)があったり、最大径が4cmを超えたり、甲状腺外に進展のある患者(pT3、pT4)が認められるケースで、有意に再発リスクが高かった。

塩医師は、再発の累積発生率は、片葉切除を受けた患者と甲状腺全摘を受けた患者で差はないため、対側リンパ節転移がなく、遠隔転移のない症例は、片葉切除が許容されるとした上で、再発リスクの危険因子は、(1)18歳未満、(2)pN1bのリンパ節転移、(3)甲状腺内散布、(4)術前リスク分類における高リスクと結論づけた。

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