入管施設に繰り返し長期収容されたのは違法だとして、難民申請中の男性2人が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高等裁判所(中吉徹郎裁判長)は9月30日、国に賠償を命じた一審・東京地裁判決を取り消し、原告側の逆転敗訴とする判決を言い渡した。
原告は、イラン国籍のサファリさんと、トルコ国籍のクルド人デニズさん。2人は2016年から2020年にかけて入管施設に繰り返し収容され、精神的なストレスからうつ病を発症するなどしたが、収容は継続された。2人は、合理性や必要性を欠く長期収容は、恣意的な拘禁を禁止する国際人権法上の「自由権規約」に違反すると主張していた。
一審の東京地裁は昨年6月の判決で、うつ病発症後の収容などについて自由権規約違反だったと判断。国に対して、合計120万円の支払いを命じ、原告の一部勝訴としていた。
原告と国の双方が控訴した二審・東京高裁判決で、裁判所は、外国人の収容制度をどのように定めるかは、基本的に各国の判断に委ねられているとして、入管法が自由権規約に違反するとは認めなかった。また、うつ病発症後の収容についても、入管の判断が裁量の範囲を超えたものではなかったとして、国に賠償を命じた一審判決の部分を取り消したうえで、原告側の請求をすべて退けた。これにより、原告側は逆転敗訴となった。
原告のサファリさんは判決後の記者会見で、「残念です。政府にはかなわないと身に染みました」と肩を落とした。一方で、「みんなで頑張って、最高裁で勝ちたい」と、上告審に向けた決意も語った。原告代理人の浦城知子弁護士は、「入管収容に対する人権基準が非常に後退してしまった判決で、憤りを感じる」と述べた。
原告側は上告する方針。