2014/09/02 - 09:38

「ヘイトスピーチは暴力」 国連の勧告受け対応求める

国連の人種差別撤廃委員会が先月、日本政府に対し、ヘイトスピーチと呼ばれる差別的な言動を法律で規制するよう勧告したことなどを受け、日本のNGO関係者が2日、記者会見を開き、政府は早急に対応するよう求めた。
 
国連の人種差別撤廃委員会は先月20・21日の2日間にわたり、ヘイトスピーチをはじめ、高校の無償化や先住民の問題、同和問題など、日本の差別や人権をめぐる状況を審査。先月29日、日本国内で、在日韓国・朝鮮人らに対するヘイトスピーチがデモやインターネットを通じて広がっていることに懸念を示し、ヘイトスピーチを規制する法整備を進めるよう日本政府に勧告した。
 
委員会にオブザーバー参加した民主党の有田芳生参議院議員は「(ヘイトスピーチは)表現の自由というのは絶対ではない。ヘイトススピーチは暴力そのものだ。」と厳しく批判。今年4月に人種差別撤廃法を求める超党派に議員連盟を作り、新しい法律を作るために法制局とまとめの段階に入っていることを説明。「拡大適用されるような法律を作る気は最初からない。日本の世論を信じつつ、新しい前進を謀って行かなければならない。」と新法立法への意欲を見せた。また外国人人権法連絡会のメンバーで弁護士の師岡康子さんは、包括的で特別な人権差別撤廃法を作るべきだと主張した。
 
日本弁護士連合会の北村聡子さんは、日本は人権状況について「先進国の中では数十年遅れている。経済的に弱者を保護できる余裕があるにも関わらず、それをしようとする姿勢が欠如している」と話す。
 
国連の勧告勧告では、「ヘイトスピーチの規制」はマイノリティの尊厳を守るためであり、その規制が濫用されてはならないとされている。しかし、自民党に設置されたヘイトスピーチPTでは、高市早苗政調会長が「デモも規制すべき」などと発言するなど、日本の人権に対する意識の低さを浮き彫りにしている。
 
反差別国際運動の小森恵さんによると、日本が1995年に差別撤廃条約に加盟以来、審査を受けたのは3回目。2001年、2010年と勧告を受けたが毎回中身は変わっておらず、実施もされていないと憤る。「今回『何を実施をしたかの報告をしなさい』との勧告まで受けたことは情けない。」と述べた。
 




 
【資料】人種差別撤廃委員会 日本審査 に関する「総括所見」
http://www.ourplanet-tv.org/files/140902.pdf
主催:人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)
http://imadr.net/cerd-kisha-kaiken2014/
 

 


 

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