福島第一原発事故
2017/12/13 - 15:14

伊方原発3号機、運転差し止め〜広島高裁

広島県と愛媛県の住民が、愛媛県の伊方原子力発電所3号機の運転差し止めを求めていた仮処分の抗告審で13日、広島高等裁判所は広島地裁の判断を覆し、運転停止を命じる決定をした。高裁で原発差し止めの判断が出るのは初めて。

決定はただちに効力が生じるが、運転差し止めの期限は来年9月30日まで。広島地裁では原発の運転差し止めを求める本裁判も争われているが、来年9月30日までに判決が出ていない場合は、運転再開が可能となるため、弁護団は新たな原発差し止めの仮処分を申請する予定。

火山による危険があると認定
福島第一原発事故をきっかけに見直しが行われた原発の新規制基準。伊方原発3号機は2015年7月に新たな安全審査に合格し、昨年2016年8月に再稼働した。しかし、広島県と愛媛県の住民らが予告電力の安全対策は不十分で、事故により住民に深刻な被害が起きるなどとして広島地裁に運転中止を求める仮処分を申請。広島地裁が今年3月、これを退ける決定をしたため、住民側は即時抗告していた。

今回の決定で広島高裁は、原子力規制委員会総の新規制基準について一定程度合理的であるとする一方、火山活動については、「原発運転期間中(40年)に熊本県の阿蘇山が活動する可能性が小さいとは判断できず」、また仮に噴火が起きた場合、「火砕流が原発に到達する可能性が小さいとは言えない」と認定。「原発の立地は不適であり、伊方原発敷地に原子力発電所を立地することは認められない。」と判断した。

さらに、四国電力が想定した噴石や火山灰の量も過小であると認め、「伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断には不合理である」と指摘。住民の生命身体に対する具体的な危険が存在する」として、運転の停止を命じた。


写真提供:脱原発弁護団全国連絡会

高裁決定に歓喜の声
広島地裁の判断を覆す広島高裁の原発停止決定。判決を受けて弁護士は、「被爆地ヒロシマ 原発を止める」と書かれた旗を掲げ、支援者とともに喜びの声をあげた。

弁護団の一人、海渡弁護士は東京で記者会見を開き「3・11後の原発訴訟の中で最も重大な決定が出た。伊方原発は、立地不適格な場所に建てたのだ。画期的な判決だ。」と述べた。

今回の決定は即効力が生じるが、広島高裁は、広島地裁で原発の運転中止をめぐり別の本裁判が争われていることを念頭に、運転差し止めの期限を来年9月30日と設定した。この判決が来年9月30日までに出ない場合、自動的に運転再開が可能となる。伊方原発運転差止弁護団は、そのような事態となった場合、新たな原発差し止めの仮処分を申請するとの声明を発表した。

四電「到底承服できない」原子力規制委「コメントできない」
決定を受け四国電力は「3号機の基準地震動の合理性や火山事象に対する安全性の確保などについて裁判所に丁寧に主張や立証を行い、抗告を退けるよう求めてまいりました。当社の主張が認められなかったことは極めて残念であり、到底承服できることではありません。内容を確認のうえ、速やかに異議申し立ての手続きを行います」とのコメントを発表した。

また原子力規制委員会委員会の更田委員長が定例会見で、高裁の判断について記者に問われたが「コメントできない」「これまで通り審査していく」繰り返し、裁判への言及を避けた。

脱原発弁護団のコメント
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/news/17-12-13/
四国電力のコメント
http://www.yonden.co.jp/press/re1712/data/pr005.pdf
全国の脱原発訴訟一覧
http://www.datsugenpatsu.org/bengodan/list/


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