福島第一原発事故
2023/01/18 - 21:19

原発事故の刑事責任、二審も無罪〜東京高裁

東京電力福島第一原発事故をめぐり、東京電力の元幹部3人が業務上過失致死傷の罪で強制起訴された裁判で、東京高等裁判所は1審に続き、3人全員に無罪を言い渡した。

刑事責任を問われて強制起訴されていたのは、東京電力元会長の勝俣恒久被告のほか、元副社長の武黒一郎被告と武藤栄被告の3人。2審判決で東京高等裁判所の細田啓介裁判長は、2002年に国の機関である地震本部が公表した「長期評価」の信頼性について、「10メートルを超える津波が襲来するという現実的な可能性を認識させるような性質を備えた情報であったとはいえない」と否定した。

東京電力福島第一原発事故の刑事責任をめぐっては、2012年に福島県民らが東電の勝俣元会長ら当時の東電幹部のほか、菅直人前首相、班目春樹原子力安全委員長ら約40人を告訴・告発。東京地検が全員を不起訴としたが、検察審査会が勝俣元会長、武黒元副社長、武藤元副社長の3人に対して、2度にわたり起訴すべきだと議決し、2016年2月、3人を業務上過失致死傷罪で強制起訴。しかし、2019年、東京地裁で3人全員に対して、無罪判決がくだされていた。

検察官役を務める指定弁護士はこの判決に対し、「長期評価の信頼性を全面的に否定した本日の判決は、到底容認でない」と批判。国の原子力政策に呼応した、政治的なものだと指摘した。上国については、判決内容を詳細に分析して、検討するとしている。上告期限は14日。

Standing Together, Creating the Future.

OurPlanet-TVは非営利の独立メディアです。視聴者の寄付を原動力に取材活動を展開しています。あなたもスポンサーとして、活動に参加してください。継続的に支援いただける方は会員にご登録ください。

※OurPlanet-TVは認定NPO法人です。寄付・会費は税額控除の対象となります。