小児甲状腺がん
2023/06/23 - 15:34

「大法廷が空いていない」裁判長、事実と異なる説明〜甲状腺がん裁判

昨年1月に東京地方裁判所に提起された「311子ども甲状腺がん裁判」をめぐり、100席を備える大法廷(103号法廷)に予約が入っていないにも関わらず、裁判所が「大法廷は空いていない」と事実と異なる説明をしていたことがOurPlanet-TVの情報公開でわかった。

裁判所が事実に反する説明をしていたのは、「311子ども甲状腺がん裁判」の第3回(11月9日)と第4回(1月29日)期日の大法廷の予約状況について。坂本三郎裁判長は9月7日に開かれた第2回口頭弁論の進行協議や口頭弁論の席上、「大法廷は空いていない」と説明していたが、OurPlanet-TVが情報公開によって入手した「設備別予約一覧表」によると、同日時点で、第3回期日も第4回期日も、103号法廷の予約は入っていなかった。

また裁判所は同じ日、3月15日の第5回期日も806法廷を指定したため、口頭弁論において、弁護団は大法廷のの使用を強く求め、進行協議を開くよう要望した。弁護団によると、同月29日に開かれた進行協議で、大法廷が取れたなどと説明していたが、今回開示された文書によると、9月7日のうちに103法廷の予約を入れていたことがわかった。

裁判所は、日程を動かすことはできないなどとして、第3回期日も4回期日も、収容人数が550人程度の806法廷を指定していたが、9月7日の段階で第3回から5回のいずれも、大法廷は空いており、5回の予約と同時に、3回目と4回目の予約を入れることは可能だったと言える。

入廷行進を撮影するメディア。

OurPlanet-TVが情報公開によって入手した民事部のガイドブックによると、東京地裁の会議室の予約は、大法廷、小法廷関わりなく、各部局が直接、データベースに予約の入力を行うこととなっており、「法廷予約一覧表」で、予約状況がすぐに把握できる。また、刑事部では、大法廷(104号法廷)の使用にあたって、事件の規模、性質、内容、訴訟関係人の数や、予想される傍聴希望者の数を考慮して使用できるとする「了解事項」があることが判明した。これと同様の規定が民事部にあるか取材したが、東京地裁の民事部は回答できないとしている。
OurPlanet-TVは、昨年9月に開示請求し、6ヶ月を超える特別延長を経て、今年6月20日に文書が開示された。

「311子ども甲状腺がん裁判」は、毎回100人を超える傍聴希望者がつめかけており、傍聴の抽選に並んだ人数は第3回目が149人、第4回は156人だった。これに対し、一般傍聴席は25席前後で、毎回6人に1人しか傍聴できない状態が続いていた。同裁判は、傍聴を希望する記者が毎回10人を超えてる上、訴訟関係者のための特別傍聴券が多い。さらに、当時は、新型コロナ感染症の影響で裁判所は座席を半数にしていたこともあり、大半の傍聴者が抽選ではずれる結果となっていたため、同訴訟の支援団体「311甲状腺がん子ども支援ネットワーク」は、大法廷での裁判を求める署名約2万筆を、9月と10月にそれぞれ提出していた。

毎回、大勢の人が傍聴抽選券を求めて列をつくる。

311子ども甲状腺がん裁判の弁護団はOurPlanet-TVの取材に対し、「裁判の公開は憲法上の要請であるが、傍聴希望者の 「傍聴する権利」は、判例上認められていない。とはいえ、物理的に可能であれば、多く の市民が傍聴できる配慮をすることが、裁判の公開の要請を実質化することであるし、市民の「知る権利」にも資することになり、裁判所としては、そのように訴訟運営すべきで ある。」としたコメントした。さらに、これらの期日に、原告の意見陳述が行われたことに触れ、「原告は 1 人でも多くの人に 自分の思いを聞いてほしいと願っていた。大法廷が空いていたことを知り、裁判所が、原告らの願いや傍聴にかけつけた多くの市民に思いを致さなかったことは痛恨であるととも に、その姿勢に深い憂慮を覚える。」としている。

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