福島第一原発事故
2021/06/18 - 11:01

「復興五輪?ふざけんな!」吠える福島県の牛飼い・吉沢正己

東京電力福島第一原発事故によって、避難区域に残された牛たち。福島県浪江町「希望の牧場」代表の吉沢正巳さんは、こうした牛を集め、この10年間、面倒をみてきた。その吉沢さんが今、怒りの矛先を向けているのが「東京五輪」だ。

「復興五輪?!ふざけるな」
今年3月25日に福島を皮切りに始まった聖火リレー。この走行コースに吉沢さんの姿があった。乗っているのは、「カウ・ゴジラ」と呼ぶ街宣車。聖火リレーの準備をするスタッフや警備の警察官、聖火ランナーの応援に借り出された関係者の向けて発せられる大音響の叫び声は辛辣だ。

「復興五輪、嘘言うな。コロナ克服五輪。嘘を言うな。オリンピックは中止になるだろう
オリンピックはできなくなるだろう。」「オリンピックは中止だ。コロナパンデミック第4波今度は半端でねーぞ。全世界を見ろよ。何百万の人が死んでるんだぞ。」

傷口に塩を塗り込むような激しい罵声を浴びせる吉沢さんが、こだわるのは「生命」。放射能汚染にさらされて、出荷することも域外に移動させることも許されず、国の指示により殺されるのも待つばかりだった牛の殺処分を拒否して飼い続けている。出荷することも、乳を搾ることもなく、1円の利益にもならないままに生かし続けていた。

吉沢さんはなぜ「五輪」に反対するのか。吉沢さんの街宣活動から見える浪江町の「復興」の現在を映像リポートする。取材・撮影:豊田直巳(12分)

 豊田直巳(フォトジャーナリスト)

イラク・パレスチナなどの戦争・紛争地域やチェルノブイリ原発事故などの現場で取材。また劣化ウラン弾被害や児童労働問題などにも光を当てる。2011年3月12日に、ジャーナリストの仲間とともに原発事故の現場に向かい、以来10年間福島取材を重ねている。

原発事故関連の著書は『百年後を生きる子どもたちへ「帰れないふるさと」の記憶』(農文協)『フォト・ルポルタージュ 福島 「復興」に奪われる村』 (岩波書店)など多数。ドキュメンタリー映画『遺言〜原発さえなければ」(共同監督)の続編にあたる『サマショール 遺言第6章』を昨年公開。

『サマショール 遺言第6章』公式サイトhttps://www.yuigon-fukushima.com/

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